◆幻novel◆
□My honey★
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「…なにこれ。ゴミ捨て場?」
休日、朝から呼ばれて訪れた友人の家。
そのキッチンを見るなり、開口一番に出たルックの言葉。
その家の住人は横で力無く笑っている。
目の前の事態は、もう自分ではどうにも出来ない位に深刻だと、ティルは悟っていた。
シンクには洗われていない皿が折り重なり、レトルト食品の包装の他、コンビニ弁当やカップ麺の空き容器がそこここに置かれている。
ゴミも溜まっていて、いかにもな腐臭を発生させていた。
ルックも今まで何度か訪ねた事はあるが…これ程まで酷い状況はかつて無い。
この家にはティルと父親、同居人の三人を合わせて五人が暮らしている。
母は早くに亡くしているが、昔から共に暮らしている同居人の一人、グレミオという青年が母親代わりとなり、男ながらに主婦顔負けの手腕で家事全般を行っていた。
その彼が居ながらにして、こんなに家の中が荒れるとは考えられない。
「……なんかあったの?」
思わず真顔で聞く。
ガクリとうなだれ、このような有様になった顛末について、ティルが口を開いた。
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