◆幻novel◆
□料理は愛情!
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同盟軍には様々な人達が集まっている。
探偵だったり、風呂に情熱を傾ける熱い人だったり。
本拠地でレストランを開いているハイ・ヨーも、そんな何処か一癖持つ者達の中の一人だ。
彼は『究極のレシピ』を所有しているため、そのレシピを狙う組織からの刺客に度々果たし合いを申し込まれる。
対決方法は、やはり料理。
同盟軍の中からランダムに審査員が選ばれ、両者の作った料理の採点をするのだが…
やはり味覚も人それぞれ。
なんでも旨いと高得点を連発する者もいれば、なんでもマズイと最低点しか出さない者もいる。
それでもハイ・ヨーとリオウは、組み合わせ等を工夫し、勝ち進んでいた。
「へ〜そんな戦いも繰り広げられてんのかぁ…ココ」
レストランのテーブルに、だらし無くへばり付きつつ…ティルは視線だけを動かして店内を見回した。
同盟軍のメンバー以外にも、この城には沢山の人達が集っている。
本拠地であることを忘れてしまいそうになる程、レストランは和やかな雰囲気と美味しそうな香りで満たされていた。
「でも審査員によってはメニュー選びもかなり大変ですよ。ルックとか…どんなに美味しい料理作っても低い点しか出してくれないし」
リオウの話に、俯せていたティルはゆっくり顔を上げた。
「ルックも参加するのか?なんか以外だな」
まぁ強制参加だから…とリオウは笑いながら言った。
採点するルックを思い浮かべると、なんだか妙に可笑しくなってくる。
ティルもクスリと笑いだしたが、途中からゴホゴホと咳が混じる。
おや?と見つめるリオウに
「実はちょっと風邪気味で」
「えぇ!?じゃ安静にしてないと!なんでこんな遠くまで来たんですか」
慌てて席を立ち、手袋を外すとティルの額に掌を当てた。
「結構熱いですよ」
「大丈夫だよ、大袈裟に…」
ヒョイと椅子から腰を上げた途端に、視界がゆらりと歪み、膝をついてしまった。
「やっぱり大丈夫じゃないです!部屋をとるから、休んで下さい」
リオウに手を引かれ、半ば強制的にティルは本拠地内の宿屋に押し込まれた。
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