◆幻novel◆
□気になるアイツ
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静かな図書館。
騒々しい奴は今日も来た。
【気になるアイツ】
そいつは可愛い子がいると、もれなく声を掛ける。雰囲気は、いかにも遊んでそうなチャラチャラした感じなのだが、中々に整った顔立ちと絶やさない笑顔のおかげか、声を掛けられた女の子の反応は、ほぼ好感触だ。
少しの間談笑して、二人揃って図書館を後にするのが決まりのパターン。
静まり返った館内で、そんな様子はとても目立つ。
本が好きな者や、読書に専念したい者にとっては、お呼びでない迷惑な人だった。
奴は好みの子を捜してか、先程からグルグル歩き回っていた。
(まったく。ナンパなら別の場所でやってもらいたいね…)
本が目的ではないその人を視界の隅にとらえつつ、ルックは思った。
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