◆灰novel◆

□*ラビらびっと★*
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*ラビらびっと★*


部屋から出ると、扉の前に箱が置いてあった。

30センチ程の大きさで、赤い大きなリボンがかけられている。
そこに挟まれたカードに差出人の名前が書いてあり…

「……え、ユウ!?」

大好きな人からの贈り物とあって、そのまま箱を手に部屋へ引っ込む。

いそいそと開いて中から出てきたのは、ノホホンとした雰囲気を漂わせるウサギのぬいぐるみ。
明るい黄色の生地で作られていて、両耳にヒラヒラリボンが揺れていた。

手作り感たっぷりのぬいぐるみを掲げ、

「もしかして、ユウがこれを…!」

自分の為にチクチク針を使う神田の姿が浮かび、ラビはウサギのぬいぐるみをギューッと抱きしめた。

「一生大事にするさ!!」

だが……
ハタと考える。

今日は何か特別な日だっただろうか?
誕生日も近いが、それも明後日の事だ。

「日にち間違えたんかな…それかフライングプレゼントとか?どっちにしても嬉しいさ〜」

ぬいぐるみをベッドの枕元に置き、暫く眺めた。


その日、早速神田にお礼を言いに行こうとしたのだが、任務に出ていたのか会うことは出来なかった。
やけに愉しそうなリナリーが、会う度に笑いかけてきた。


翌日、部屋から出るとまた箱が置いてあった。

1メートルはある正方形の箱は、なかなか威圧感がある。
やはり大きなリボンがかけられ、カードが添えられていた。

「お…アレンだ」

昨日に続いて、これはカウントダウンプレゼントだろうか?と、やたらに重い箱を引きずって部屋に入れると、蓋を開いた。

「………………えぇっと……」

思わず絶句しそうになった中身は、大量のニンジン。
そして、その上に無造作に置かれた薄桃色のウサミミだった。

みっちり詰め込まれたニンジンは所々に土が付いている、とれたて感満々な新鮮野菜。

「オレにコレをどうしろと…」

ウサミミは箱に戻し、ひとまず何本かのニンジンをジェリーの元へ持っていき、料理に使ってもらう事にした。
その日の食事はニンジンだらけになった。

相変わらず愉しそうなリナリーが、ニコニコと見つめていた。

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