◆灰novel◆

□幸福を君に…
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穏やかな風が吹く、暖かな春の午後。

任務も無く、暇な時間を持て余していたラビは、書室の高い位置にある窓枠に座り、外の景色を眺めていた。

切り立った崖の上に建つ本部。
さらに高いこの塔の上からの眺めは、中々に絶景だ。

回りは木々に囲まれ鬱蒼としているが、陽気のおかげで広がる緑も輝いて見える。
弁当でも持って遊びに出掛けたい気もするのだが…あいにく付き合ってくれそうなアレンとリナリーは、任務に出ていて留守だった。

(あ〜…部屋ん中に居るのがもったいないさ。散歩でもするかな)

明るい陽射しに瞼が重くなる。
ウトウトしつつ…昼寝もありかな…と考えながら木々を見ていたが、その目は唐突にパッチリと目覚めた。

(……あれ?今のって…)

窓に顔を近付け、遥か下へと瞳を凝らす。
だが見えた人影は既に木々に隠れ、確認は出来なかった。

腰掛けていた窓枠から軽やかに飛び降りたラビは、その勢いのまま部屋を出て廊下を走った。

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