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□超独裁主義者の正しくない恋愛倫理観
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『あ、実渕先輩。』

「あら?どうしたの?」

『これ、赤司さんから預かりました。』

「ああ、ありがとう。…ねぇ、征ちゃんのこと、どうして苗字呼びなの?幼馴染なんでしょ?」

『あぁ………まぁ、いろいろあるので。』

「そう?まぁ、いいわ。プリント、ありがとうね。」

『いえ。では失礼します。』


赤司征十郎。

彼は、私の幼馴染である。


が、


私は彼が嫌いだ。

理由は明確。




2秒遅いぞ。

『……(イラッ』



超独裁者だからだ。



『…はぁ。すみません。』

「僕の命令は絶対だ。」

『そうですね。』



私はなぜ、こいつと同じ学校なのだろうか。


いくら考えても理由は一つ。



この目の前にいる童顔僕様野郎が決めた、ということだ。



今日もいつも通りの独裁者ぶり。


なぜ私なんだ。


可哀そうだ。


私が。



『(まぁ、いいや。図書室行って来よう。)』


そう思い、席を立つ。

すると、ぐいっと手を引かれた。


『なんですかね?赤司さん。』

「お前、どこに行くつもりだ?」


鋭い目つきに変わっている。


というか、どこって、私の勝手じゃない?


『図書室ですよ。古文のレポートの資料を探しに行くんです。』

「…そうか。」


そういって手を放した。

私は教室を出て図書室へ向かった。

なのに、




『(どうして、ストーカー紛いなことされているんだ?私。)』


まぁ、確実に違うことは、


私の隣で歩いていること。


図書室について、私は気になって尋ねてみた。


『…赤司さん。どうしてついてきたんですか?』

「だめなのか?」

『いえ。決してだめだとは言いません。しかし、ついてきてあなたにメリットがあるんですか?』

「……ああ。そうだ。確かにな。」


赤司さんはそう言って、私と一緒に本を探していた手を止めた。


「最近、お前がほかのやつと話していると、いらいらするんだ。」

『…そうですか。』


それって、所謂“嫉妬”ってやつですよね?
と、のんきに思っていた。

しかし、



「まぁ、きっとお前が嫌いだからなんだろうな。」

『…はい?』


いきなりの嫌い宣言。

だったら尚更、


『ついてこなくても…よかったんじゃないですか?』

「ああ。まったくもってその通りだ。だが、僕は今までお前のことが嫌いだとは思ったことがなかった。だから…、」


赤司さんは私の方を見て、いつもは見せないような笑顔で言い放った。



 

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