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□後悔
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彼女は、まるで、眠っているかのようにベッドに横たわっていた。
「名前さん…。」
ついさっきまで、温かかった手の平は、
ただ、無情にも冷たく、
僕に、絶望を突き付けていた。
こんなことになるのなら、
もっと早く、想いを伝えて、
たくさん、思い出を作っておけばよかった。
手をつないでおけばよかった。
「好きだ」「愛してる」って、伝えておけばよかった。
「まだ…でしょう?っ…約束、守れて、ないでしょう…?」
あの日、彼女とした約束は、まだ、守れていない。
『インターハイで優勝したら、キス、してね。』
まだ、優勝していない。
約束を、破ることになるのは分かっているけど、
せめて、これだけは後悔したくないから―――――…
僕は、彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
「…愛してます。これからも、ずっと……。」
そう、目をつむったままの君に告げる。
『ありがとう。』
そう言った彼女の声が聞こえた気がした。