gift&present

□痛みの代償は首への首輪。
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『ねぇ…やめ、ようよ。』

「は?今更何言ってるかわかんねーよ。」

『なんで、こんなこと……。』






彼は、私の部屋にいる。



部屋に来て突然雰囲気が変わって、





壁に貼ってあったポスターを破った。






「なぁ、俺の女ってこと、自覚してねぇだろ。」

『わかってるよ……でも、さ、いくらなんでも、やりすぎだよ……。』

「は?」





殺気が伝わってきて、怖い。




足ががくがく震えて、歯もカチカチとかみ合わなくなっていて、冷や汗がぼたぼたと流れる。


とんでもなく、滑稽なんだろう。



『ね、ねぇ……や、やめてよ……。』

「ほかにねぇんだろうな。こういうの。」





彼が手にしたのは、先ほどまで飾られていたポスター。


好きなバンドのポスターで、友人に誕生日プレゼントでもらった物だ。




先ほどまでこちらに笑顔を向けていたポスターは歪み、切り裂かれ、原形をとどめていない。






『た、たかがポスターでしょ…?』





彼の嫉妬する感情は異常だった。


テレビを見ていて、俳優に向かって褒める言葉を発すると、テレビを消して怒鳴る。


クラスで少しでも男子と話すと、その男子が次の日から学校に来なくなったり、大怪我を負っていたりする。





「たかが?」

『っ…!』





ギラリと瞳孔の開いた目が私を捉える。





怖い。








『は、なみや、くん?』

「たかがポスター?俺にとっては、嫉妬するには十分すぎる相手だ。」







そういって、手が伸びてくる。







ピリッと、嫌な音がした。












首の痛みは



きつく、きつく締めつけられた、








私の首輪。








     
     

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