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□君が好きだ!
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初めて彼女と会ったのは、

雨が降っていた日だった。


珍しく部活がなくて、また珍しく、真ちゃんが先生に呼び出されて、一人で帰っているとき。


川沿いを歩いていると、川べりに同じ学校の制服を着た女の子がいた。



「ねぇ君っ。どうしたの?」




傘も差さずにただ突っ立っていた彼女は、俺の声に気づくと、



ゆっくりと顔を少しだけこちらに向けた。




『……何か、用?』




心なしか声が震えているように感じた。


…違う。






確実に声は震えていて、





頬には、雨ではないものが流れていた。






「ねぇ…なんで、泣いてるの?」





関係ないだろうけど、なんとなく気になって聞いてみた。



返答は、予想通り。





『あんたには、関係ない。っていうか、泣いてないし。』





冷たく、けれど、弱弱しくそういわれた。




「またまた〜。強がってるの分かってるんだからなー。


 鷹の目発動!みたいな?」


『…は?』


「なーんて、な。雨で隠そうったって、無茶な話じゃん。それ、涙なんだから。



 目ぇ、見ればわかっちゃうぜ。」



そう指を指しながら言うと、彼女は俺から顔をそむけた。




「…帰んないの?風邪ひくぜー?」




そう彼女に話し掛けても、彼女は何も答えない。


俺は、彼女の後ろまで歩いて行った。



「無視とかやめろよー。悲しくなってくんじゃん。」

『…じゃあ、話し掛けなければいいじゃない。』



くるり、


と回って俺の方を見た彼女は、



遠目で見るよりもかなり綺麗な子で、でも、



それに比例するように儚いようにも見えた。



「あ、やっと見てくれた。」

『……何?』


少し疑うようにそう聞く彼女に



「ねぇ、俺でよければ話、聞くよ?」


と、なるべく優しく言うと、


涙を流していただけの彼女が、声を上げて、泣き出した。




 

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