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□君の姿を
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「ねぇ、黒ちん。」
「なんですか?紫原くん…。」
すると紫原君はしゃがみこんで、こういった。
「どうして、一番死んじゃいけない人が死ぬのかな……。」
「…そう、だな。敦。」
「そうですね……。」
「死ぬなら、犯罪やるやつとかさ、ほかにもいんのにな。」
「ああ…。」
「っ…名前っち……!」
彼女が僕らに与えてくれた、
笑顔。
優しさ。
喜び。
そして、愛おしさ。
その総べてが、一瞬にして消え、
僕らに残ったのは、
悲しみ。
苦しみ。
喪失。
涙。
「でも、いつまでも後ろを向いていたって、彼女は喜ばない。それは、僕たちが一番知っているはずです。」
「…そうだな。」
「今だけ…この日だけは泣いて、あとはずっと笑っていましょうよ。」
“それが、名前さんにできる恩返しです。”
僕がそういうとみんなは少し微笑んで、
瞳から大粒の雨を流し続けた。
彼女が運ばれた病院で、彼女は僕らに言った。
『みんなは不器用だから、お互いに認め合えないかもしれない。自分の気持ちにも、素直になれないかもしれない。
でも、私は知ってるよ。
みんなが、すごく優しくて、
誠実で、
どんなチームよりも暖かいこと。』
『だから、泣かないで。
私は笑ってるみんなが大好き。
いつまでも、ずっとみんなのこと応援してるから。
離れ離れになっても、ずっと一緒にいる。
ねぇ、だからお願い。』
『辛くても、苦しくても、痛くても、悲しくても、
泣かないで。』
『一人じゃ、ないんだよ……。』
『だからホラ。ね。隣を見ればいつも、
一緒に戦ってきた仲間がいる。
私は、姿が見えなくなる、けど、
みんなのこと、応援、して…るから…。』
『ばいば………い…。』
君の姿が見えなくなっても
いつでも君が、微笑んでいる。
そんな気がした。