短編裏BL

□可愛いキミが
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─翔side─




「ん、ぅ…むっ……」


藍の足を跨がっているせいで、俺は唇を塞がれても必然的に藍の顔よりも上になる。
そのせいで藍の口元を汚すように俺の唾液が流れ込む。
さすがに悪いと思って唾液の流れを阻止しようとするも、藍の唇や舌によりそれを悉く邪魔されては俺の舌を吸い上げると共に藍は俺の唾液も飲み込んでいく。

藍の喉がコクッと鳴る度に、無性に恥ずかしくなり、目をぎゅっとつむる。

そんな俺に気付いたのか、藍は俺の長い髪に手を伸ばしては撫でる。


…なんでこういうときにそうやって優しく撫でてくるのか…
まじわけわかんねぇ…

悔しいけど…安心する…


藍の肩口を掴みながら、顔を傾け、自ら舌を絡ます。

その瞬間、藍は俺を抱き上げてはそのままソファの上に俺を倒して覆い被さってきた。


「…んっ…ぁ…藍…」

「………」


藍の名前を呼ぶも、無言のまま、また唇を噛みつくように塞いできた。

俺の唾液で汚した藍の口元はぬるぬるとしては俺の唇と絡まり出す。
俺の呼吸のために度々唇を離しても、垂れ流れてくる藍の唾液に俺は何も考えられなくなって、ただひたすらに飲み込んだ。


「っ…く、んぅっ…はぁっ…はっ…んっ…!」


ダメだ、呼吸困難になりそうだ。
藍はロボットで、呼吸なんてしない。

無我夢中でキス出来るほど俺の身体はなってない。

さすがに、死ぬ。


俺は酸欠で頭がぼうっとなった状態で藍の胸元を押した。


「……苦しいんだ?」

胸元を押すと、藍は俺らの唇を細い糸で繋がる距離まで離れて、そんな言葉を放った。


「っ…はぁっ…わ、かってんならっ…やめっ…んっ…!」

「…だって、わざとだから。」


こいつはほんとに悪魔かっ!

そう怒りたかったけれど、何も考えられなくなるぐらいの藍からのキスに、もう身を任せるしかなかった。

藍の手が背中に回り、首元のリボンをほどいては背中のチャックを下げられる音がした。
ソファの冷たい革の感触が首から項にかけて感じられた。

そのまま肩口をあらわにされ、コルセットを締めていた紐も緩まされた。


「…これ、要らない…」

藍は唇を離し、着けていたコルセットを早々に外した。

そのまま何も着けていない肩口から鎖骨、胸元へと藍は唇を移動させた。

普段長い髪なんてしていないから、金色の長い髪が俺の首元や肩口を擽って俺はかつらを取ろうとする。


「…今日は…そのままでいて…」

かつらを取ろうとした俺の右手を藍は左手で封じ、また俺の身体に舌を這わす。

鎖骨をなぞるざらついた藍の舌は決して初めてなんかじゃないのに、何故か今日は一層その感触に感じた。


「……下着は…着けてないんだ…」

藍は俺の何も着けていない胸元を見てはそう呟いた。


「…なんだよ…着けてた方が良かったかよ…」

「別に…まぁ着ける必要もないだろうしね。」

「……お前…さ…女の子相手だったら…胸、大きい方が…好きなのかよ…」


ただ何となく聞いてみただけだった。
そういや藍が女の子がどうとか聞いたことなかったななんてふと思った。

…まぁ、藍が女の子がどうとか言ってるの想像するだけでもすっげー嫌だけど…




「…ボクは…ショウの胸が一番好きだよ。」



不意をつかれ、顔が異常に熱くなるのを感じた。

冗談でも恥ずかしすぎる。

何なんだ、こいつっ…



「…本音、言っただけだったんだけど。」

下から見上げてくる藍の口角は上がり、不敵に妖しい笑みをたたえていた。


「っ…ばっ…かっ…ふざけんなっ…んぁっ…!」

「……だから…本音だってば…この白い肌に筋肉質な胸に薄いピンク色の乳首…こうやって弄れば…すぐに立ち上がる…」

「やめっ…ばかっ…藍っ…っん…」


そうやって声に出すな、そう言いたいのに藍の手や舌がいやらしく俺の胸の突起を捏ねくり回し、吸い上げる。
柔らかい唇で突起を引っ張られればそれだけで下半身が熱く疼き出す。
それを見越すように藍は自分の右足を俺の足の間に絡ませてくる。
白いニーハイ越しに藍の足を感じ、もうそれだけでいやらしさが増した感じがした。


「…まぁ…ショウが女の子でも、多分ボクはショウを好きになっていたかもしれないけど。」

「っ…ん……はっ…?」

胸から唇を離した藍のそんな呟きに俺は首を傾げて聞き返した。



「だから…男とか女とか関係ない。ボクは、ただ、ショウが好きなんだよ。」



さっきまでの妖しい笑みは無くて。

なんでこういう時だけそんな真剣な瞳をしてんだよ…
女装なんてさせといて、そんなん言うなんて、狡すぎんだろっ…

「…まぁ…そういうわけで…今日は女装姿、楽しませてね。」

「えっ…ちょっ…そっちはっ…!」


藍の言葉に余韻に浸る余裕も貰えず、藍は俺のツルツルと滑るニーハイの生地の感触を楽しむように左手を滑らせてきた。

そのまま右足の太股に手を這わせると、下着と繋がっていたガーターベルトを右足だけ器用に外し、藍はそのままスカートの中に顔を埋め、肌色の太股に舌を這わし始めた。

こっから見るとスカートの中で藍が何してるのかも何をする気なのかもわからなくて、俺はただひたすらに藍の行動に堪えるしかなかった。


太股の内側に藍の手が添えられ、足を大きく開かされる。
左足はソファの背凭れの向こう側に投げ出されるような形になり、右足はソファから滑り下ろされた。


「…はしたない恰好だね…」

「なっ…だって藍がっ……」

「……良い眺めだよ。」


そう妖しく呟くと、スカートを捲りあげて、藍は俺の足の間のモノにそっと触れた。
女の子の下着のせいで、既に立ち上がりかけているそれは押し潰されていて正直苦しかった。

そんな俺の下半身事情を見付けてしまった藍は呆れたように笑った。


「…そりゃあそうだよね。この下着じゃ、苦しいよね。」

「っ……、」

「でも、まだ脱がせてあげない。」


藍はそう言うと、下着の前の部分を引っ張り、俺の興奮している昂りに擦るように動かし始めた。
男の下着とは全然違う下着の感触と、無駄に締め付けられるその感覚に俺の身体はびくんっと跳ねた。
自分の先走り汁のせいでぬるぬるとしていて気持ち悪かったけれど、でもそれがまた気持ち良い気もして、込み上げてくる羞恥心に首元に巻き付いていたリボンを思わず噛んでいた。


「これ、気持ち良いの?」

「っ、ぅ…は…んっ…ぅ……」


初めて感じる感触に、正直もうよくわからなくなっていた。
女の子の下着に自分の性器擦り付けてるとか、女の子の下着を自分の先走り汁で汚しているとか、それを藍にされているとか、もう何が自分を興奮させているのかわからなかった。



「あっ…藍いっ……」

「何…そんな物欲しそうな顔して…女の子みたい。」

「だ……だって、ぇっ……」

「とりあえず、これは脱がせてあげるよ。」


藍はそう言って、俺の身体から下着を脱がせた。

その瞬間、解き放たれたように俺の性器はガチガチに硬くなりながら俺の顔の方に先端を向けてきた。
「…こっち…欲しいの?」

「っ……ぅ、んっ…欲し…いっ…」


先走り汁が自分の後孔にまで垂れ流れて、革のソファもびちゃびちゃに濡らしてしまっていた。
そのせいか、後孔は反応するようにひくついて、入れてほしいと疼いていた。


もう羞恥心も何も無かった。



「…は…やくっ…藍…っ…」


「…そうやってねだるの…やめてくれる…?」



藍は服を脱ぐと、俺を抱き上げてはそのままソファの下のカーペットに俺を下ろし寝かせた。
そのまま俺の上に被さりながら、唇を重ねてきた。

後孔に這わされた指が確かめるように俺の中に入ってきた。
きゅうっと締め付け、奥へと引っ張る。

でも、そんな細い指が欲しいんじゃない。

もっと奥まで打ち付けてくるような、藍の熱い性器が欲しいんだ。



「藍っ…も、良いからっ…」


俺は藍の背中に手を回し、ただひたすらに藍を求めた。

汗で身体にまとわりつく長い髪やスカートが気持ち悪かったけれど、もうそんなのもお構い無しだった。



「…今…ショウが女の子に見えた…」


「なっ…に…言ってっ……んっ…ぁっ…!」


「…可愛いんだよ…っ…ショウっ…」



また可愛いって言う。

でも、そんなのもたまには良いかもしれない。

藍になら…藍にだけなら、可愛がられても嬉しい気がするんだ。



「っ…あ、あっ…藍のっ…入ってっ…」

「入れてって言ったのは…、ショウ、でしょっ……!」

「んぁっ…や、はあぁっ…藍っ…藍ぃっ…!」


痛いのさえ、もうどうでも良かった。
慣らしてない孔も、外されたガーターベルトが揺れる度に当たるのも、もう何でも良かった。

ただ藍に抱かれてるというその事実だけで、もう幸せだった。



「…ショウっ…ショウ…可愛いっ…」

「んっ…あぁっ…藍っ…」

「……今、可愛いって言ったら…締まっ…」

「ちっがっ…違うっ…んやっ、あぁっ…!」

「…ほんとっ…可愛いよねっ…ショウ、って…さっ…」



女装のせいなのか。
藍は今日は異常なまでに可愛いなんて言う。

可愛いと言われて反応したんじゃないんだ。


藍が可愛いって言う度に、愛しそうな表情をするから、それで心臓がきゅんって切なくなるんだ。


大体…可愛いのはお前もだろ、なんて思ったけれど、それは物凄い形相で怒りそうなので言うのは今は止めておいた。
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