短編裏BL

□可愛いキミが
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─藍side─




ショウが小傍唯をやっていただなんて前々から知っていた。

あの顔、体型、一目見ればロボットのボクにはわかる。

ロボットのボクは騙されない。
まぁショウが好きでも嫌いでも何とも思っていなくても、ロボットのボクからしたら直ぐわかるけれど。


洗面所の方からゴソゴソと衣擦れの音が聞こえる。

着るの大変そうな服だったし、時間かかるだろうな。


ボクはとりあえずショウを待つためにリビングのソファに腰をかけた。


…それにしても何でショウはまだ小傍唯の衣装を持っていたんだろう。
ナツキが捨てたくないって駄々をこねたとか?
まぁそれもありそうだけど。

まさかショウは女装が好きだとか、そういう趣味が実はあるとか?

…いや、それはない。
あの普段のショウを見ていれば一目瞭然だ。

まぁ…多分ショウの捨て忘れとかそんなんだろう。


そう自分の中で結論づいた時、洗面所のドアが開いた音がした。



「……あの…藍…」


ギィッと静かに開けられたドアから、フリルがあしらわれたワンピースに身を包んだショウが恐る恐るリビングに入ってきた。


「…こ…これで…良いのか…?」



金髪のかつらに、コルセット付きのピンクのメイド服のような膝丈のワンピース。
白のニーハイに多分付けているのだろうガーターベルト。


正直、女の子にしか見えない。
少し幼い女の子。
背丈だって体格だってさして変わらない。

けれど、ただの女の子が着ていたって、ボクには何の意味も持たない。


ショウだから。

女装に恥ずかしがって今にも逃げたいって顔をしているショウだから。

こんなにも、興奮して、もっと凌辱させたいなんて感情がせめぎたてる。



「…お、おい…藍…もう見ただろ…脱いでも…」


「…簡単に脱がすと思う?」


そんなわけないでしょ、そう言うとボクはショウを手招きし、ボクが座っているソファに来させた。
そろそろと足を滑らせては恥ずかしそうにしながらショウはボクの目の前に来た。



「ボクの上、座って」

「…ど…どうやって…」

「ここ、跨がって。」


普通にソファに座っているボクの太股をポンポンと叩くと、ショウはおずおずと足を開いてボクの太股に跨がり、ふわっとスカートが柔らかくひらめいた。

ボクの顔を見れないのか、ショウは跨がっても恥ずかしそうに俯いている。

「ショウ、恥ずかしい?」

「…っ、そりゃぁ…」

「何が恥ずかしいの?」

「女装、とか…こんな姿…藍に見られてる、とか…そう思うと…」

「興奮する、とか」

「なっ…そこまで言ってねぇって…!」

「ボクは興奮するけど。」

「っ…な、に…言ってっ……」


それでもショウはずっとボクの顔を見ない。
便利だよね、長い髪って。
簡単に顔が隠れるから。

まぁ、今はそれで良いや。


「……お前…そんな、見んな…」


ショウがこちらを見ないことを良いことに、ボクはメモリに保存するためにショウのその姿を舐めるように見ていた。


「だって、可愛いから。」

「っ…はぁっ…!?」


可愛いなんて言うと、ショウは怒る。
今もボクのその言葉にショウは眉間にシワを寄せた。
でも、ボクは構わず続ける。


「別に小傍唯として仕事してるときに可愛いとか思ってなかったけど、こうやってショウがボクのためだけに着て、ボクの前だからこそ恥ずかしがってるショウが可愛いから。」

「なに…言って、っ…」

「だから、見せてよ。もっと、可愛いショウを。」


ショウの腰をグッと引いて、胸元をピッタリとくっつけた。

ボクの言葉に呆気に取られていたショウだったけれど、近付いた顔に急に頬を赤く染め、ショウは視線を反らした。




「っ…今日、だけ…だかんなっ……!」



真っ赤になった顔を隠したいのか、手の甲で口元を押さえながらそんなことを言う。

そういうの、いちいちボクを煽ってるって気付いてないのかな。

気付いてないから、無意識でやるんだろうけれど、それにしても、無防備すぎて笑っちゃうよ。



「…な、んで…笑ってんだよ…」

「別に…ただ、ショウが可愛いなと思って。」

「まっ…た…そうやってっ……んぅっ…」


いい加減、我慢の限界だった。

こんなショウを目の前にして、もう我慢なんて出来なかった。



可愛いと認めさせてやりたい。

女装が可愛いんじゃない。


ショウが可愛いんだ。

見た目じゃなくて、恥ずかしがる表情だとか、明るくて素直なところだとか、何もかも引っ括めて愛らしくて、可愛いんだ。


ボクだけのショウ、それが何よりもショウへの愛しさを増すんだ。
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