短編裏BL

□一番の媚薬
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ボクに跨がっているショウは膝から脛をベッドの端に乗せては大きく足を開き体勢を保つ。
それでも、性器に与えられている快感に耐えられず、ショウの身体は完全にボクに体重を預けていた。



「っ、ぁ…藍っ…」


「…ん…っ…?」



前屈みになってボクの肩に額をつけていたショウが顔を上げてボクの名前を呼んできた。
ボクは顔を上げたショウの視線に自分の視線を合わせた。



「ど、うしよう…すっげ…気持ち良い…」



心臓なんて無いのに。
きゅんっと、心臓が縮まったような感覚がした。


ショウの濡れた水色の瞳が艶かしくて。

甘美なその声音がもうどうにもならないぐらいボクの心臓を苦しめて、狂わせる。



「……もう、お願いだから…黙って…」


そんなことしか言えなくて、ボクは無我夢中でショウの唇を塞いだ。

上下にストロークしていた濡れた手でショウの後孔をまさぐると、そこは既にひくひくと疼いては何かを求めるように待っていた。

後孔の皺を爪で引っ掻くと、ピクッとショウの身体は反応し、性器が擦れ合った。
ぬるんと交錯した性器はそのまま絡み合い出す。

でもそれだけでは終わらせない。

ショウの後孔のすぼみに濡れた指先を入れ、孔を広げるように解す。
重なった唇から呻き声が漏れるが、そんなのもお構いなしにボクはその指先を進める。

苦しいのは、ショウだけじゃないんだ。


「ん、ぅ…ショウ…っ…」


汗ばんだショウの背中に手を伸ばす。
額から流れる汗と絡まる舌から垂れる唾液がショウの首筋に混ざっては流れる。

背骨を上へと沿って、うなじに手を添える。

もう、呼吸さえもさせたくない

そんな願望が生まれるぐらい、ショウの唇や口内を隅から隅まで堪能し翻弄させる。


「ん、ぁっ…藍っ…っ…!」

ショウは中で蠢くボクの指先にばかり意識を集中させている。
痛いのと、気持ち良いというショウの感覚が表情に表れている。



もう、無理だ。

身体の熱に耐えられない。


ショウが…欲しい。


ショウのここに、入れたい。




「んぁ…藍、ぃ……」


「ごめ…ん…やっぱり、優しく出来ない…」


潤んだショウの瞳に触発された。
ボクは指先を奥まで無理矢理入れては乱暴にぐりぐりと引っ掻き回す。
そのままショウの反応も見ないで、指先を抜いてはボクのモノを宛がった。



「…慣らしてないけど…ごめん…もう、我慢…出来ない…」


ショウの腰に両手を回しては尻の肉を広げ、そのまま自分の性器をショウの尻孔のすぼまりに先端を挿入した。


「ん…ぅ…ぁあ…っ…ぁっ…!」


ショウの肌に鳥肌が浮かんだ。
全身の毛が逆立つような甘美な感覚にボクは既に意識を飛ばしてしまいそうだった。
たった先端だけでとか思っていたけれど、思ったよりも自分の中で熱やら欲望が溜まっていたようで。

ショウには悪いけれど、そのままショウの腰を一気に落としたくて堪らなかった。



「っ…ぁ…ショウっ…」


「藍……俺っ……」


気持ち良くて、ずっとこのままでいたいような
でも、早く絶頂へと向かいたいようなそんな二つの対称的な感情が自分の中で渦巻いていた。

その時だった。


「っ…んっ…ぁっ…!」

「なっ…ばっ…ショウっ…!」


ぐぅっと音を鳴らすかのように、ショウはいきなり腰を一気に落としてきた。
急な感覚に声が荒ぶっては掴んでいたショウの尻をぐっと掴んでしまい、ショウは顔を少し歪めた。


「…っ…我慢…出来なく、てっ…」


「何、言って…っ…!?」


ショウはベッドの上に膝を乗せ、ボクの肩に両手を乗せた。
そしてそのままぐっと膝で立ち上がってはギリギリまでボクのモノを抜いた。


「…ショ…ウっ…」


「良いよっ…俺の身体…貸してやる、よっ…」


ショウはそのまま自分の体重でボクの性器を身体に突き刺すように一気に腰を落とした。
じゅぶっという淫靡な水音が響き、次にショウの喘ぐ声が響いた。

もう我慢出来なくて、ショウのその動きだけじゃ物足りなくて、ボクはショウの腰を掴んではショウの身体を上下させた。
抜く度に傘の部分がショウの内壁を逆撫でし、次の瞬間に最奥まで突き刺す。
ただそれだけの繰り返しなのに、異常なまでにショウを感じる。

ボクは繋がったままショウをベッドに寝かせ、そのままショウの上に覆い被さり、浅ましく腰を打ち付けた。

肌がぶつかり合う乾いた音と濡れた粘着のある音がボクたちの間で響いた。


「ふ、あ…あぁっ…やぁっ…藍っ…!!」

「はっ…ぁ…ショ…ウ…っ…」



感じるのは薬の熱じゃない。

繋がった部分から感じるショウの熱。



浅ましく腰を振る自分は性欲にまみれたバカみたいで嫌だったけれど。

自分のモノに絡まるショウの襞の質感が気持ち良くて仕方なくて。


何より自分の腕の中にショウがいることが、幸せで。


「っあ…あぁっ、んっ…はぁっ…ぁっ…藍っ…イっちゃ…イっちゃ…ぅっ…!」


ショウはぎゅっとボクの腕を掴んではそう喘ぎ出す。

ボクは良いよと言う前に、その喘ぎ声を唇で封じた。

その瞬間、きつく重ねたショウの唇の端から、んぅっ…と声が漏れ、二人の顎にショウの精液が飛び散った。


「っ…ぁっ…藍っ…んーっ…!」



ぐっと最奥まで自分のモノをショウの中に入れ込んだ。

そして訪れた、本日何度目かももう解らない射精。

でも、多分一番気持ち良かった。



「…薬…引いた…か…?」



また、恐る恐る聞いてくるショウ。

涙と汗と唾液、そして自分の精液にまみれた顔。

自分の心配じゃなくて、ボクの心配、か。


「…まだ、収まらないって言ったら…どうしてくれるの…?」




自分の顎にかかったショウの精液を指先で拭っては舐めとりながら、そんな意地悪を言ってみる。



「…今日は…いくらでも…付き合う、よ…」



体力ももう無いくせに、とろんとした瞳で肩を上げ下げしながらボクを見上げるショウ。


ほんと…可愛いったらありゃしない。


博士からもらった薬はもう十分過ぎるほど引いた。


でも、こうやって新しい媚薬をもらっちゃ、黙ってなんかいられない。




「…じゃあ…付き合ってもらおうかな…」




新しい媚薬を含んだ熱いキス。


ボクにとって一番の媚薬は。


どうやらキミのことらしい、ショウ。




絡まる指先に、キミを感じて。





─END─
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