短編夢小説

□御曹司トリオ組+パレス組
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「おい、真斗。これも見ておけ。」

「…これは…」

「次のライブの参考になんだろ。良いから見ておけ。」




マスターコース寮の談話室にて。

オレと聖川とランちゃんは次のライブに向けての準備をするために、談話室の資料を漁っていた。


「見付けるの早いね。ランちゃん。」

「談話室にある資料はほとんど覚えてっからな。ほら真斗。さっさと準備しろ。」

「はい!今すぐ!」



聖川はランちゃんから渡された資料…多分あれはDVDだろうな。

それを持って聖川はDVDレコーダーの傍まで行き、セットし始めた。





「……む…?」


セットしていた聖川は何かを見つけたようで、首をかしげていた。


「どうした、聖川。」



「……こっ……これはっ……!?」





聖川はレコーダーを開けては何か白いディスクを取り出した。



「…誰かの忘れ物じゃあないのか?」

「…い…いやしかしだな……これは…」



さっきから聖川の様子が変だ。
顔を真っ赤にして口をモゴモゴさせてはそのレコーダーから取り出したディスクを見つめている。

レコーダーにディスクが入っているなんて普通にあることだろうに。



「…なんだよ。そのディスクがな……ん?」

「……これは…その…誰かの忘れ物…なのだろうか……」




聖川が手にしている白いディスク。

そこには黒いマジックで書かれた『AV』という文字が見受けられた。





「……じ…神宮寺…これはどうしたら良いのだろうか…」

「…いや…知らない…」




さすがにこんなところでこんなものを見るなんてね…

実際、オレはAVなんてほとんど見たことがない。

聞こえは悪いがオレには沢山のレディたちがいたからね。




「とりあえず…抜いておけば良いんじゃないか?」


ランちゃんはソファに座ってはこっちを見ずに雑誌を読んでいるし…

多分気付いていない。


「…そ、そうだな…じゃあこれは……」





聖川は手に持っていたその怪しいディスクを、テレビの横に隠そうとしたその時談話室の扉が開いた。




「…あ、マサトにレン。それにランマルも。何をしているのですか?」

「…あ…ああああああ愛島…!?」

「セッシーか…久しぶりだね。」

「…む…貴様等がここで何をしている。」


「……あぁ?…ちっ…カミュかよ…それはこっちが聞きてぇよ。」




セッシーの後ろからバロンも部屋に入ってきた。

バロンはオレらを見て眉間に寄ったシワが一本増えたと同時に、ランちゃんの眉間にもシワが一本増えた。



「ワタシたちは資料を探しにきたのです!それよりマサト、それは何ですか?」



聖川が隠そうとしていたディスクを、セッシーは目敏く見付けてはこちらに近寄る。


「こっ…これは何でもないっ…!」

「な…!マサト!そうやって独り占めするのは良くありません!ワタシにも見せてください!」



セッシーの身体能力は飛び抜けている。

だから、聖川がどんなに取られるのを阻止しようとも、それは無駄な抵抗だった。







「……え…えーぶい…って、なんですか…?」




ディスクを手にしてはセッシーはそう首を傾げた。


沈黙の走る談話室。




…おかしいな。

ランちゃん辺り吹き出しそうなのに…

何も反応がない。



…これは何か裏がありそうだな。




「マサト。AVってなんです……マサト…顔真っ赤ですけどどうし……」

「愛島っっ!!」


心配するセッシーを他所に、聖川はセッシーの肩をがしっと両手で掴んだ。





「えっ…AVとはなっ……あっ…あ…ああああアップルビデオの略なのだっ…!!」








またしても訪れる沈黙。



…これは…どう助け船を出したら良いのかさすがのオレにも解らない。


セッシーの反応に任せるしかない。





「あ……アップル、ビデオ…?それは何の意味があるのですか…?」

「なっ…何の意味もない!!だから!見なくて良いのだ!!」




…あぁ、なるほど。

そういう風に持っていくわけだ。


まぁこれなら多分セッシーも諦め……





「……マサト。何かおかしいです。もう良いです。見れば解ることです。」



セッシーはそう言ってはレコーダーにディスクをセットした。





…これはまずいかもな。

そう思ったオレは机にあったリモコンを手に取り、テレビの電源を付けようとするセッシーを阻止しようとした。




「先に資料、探した方が良いんじゃないかな?」


そう、リモコンを取ろうとしたセッシーに声をかけたが。



「…このディスクが気になって資料探せません。」



そう一蹴りされ、リモコンを取り上げられてしまった。




「では!見ましょう!!」


早速テレビとレコーダーの電源をつけるセッシー。




「お…おいっ…神宮寺っ…!愛島を止めなくて良いのかっ…!?」

「…仕方ないだろ…無理矢理止めるにしてもセッシーは言うこと聞かなさそうだし…何か止める案は?」

「…じぃにここの談話室を壊してもらうとか…」

「…間に合うか…それで…」

「……仕方ない…俺が愛島を抱き締める!その隙に電源を落としてくれ。」

「………分かった。」




聖川にしては余裕の無い案だったが、今のオレには他に思い付かなかった。





「あっ…愛島っ…!」

「…なんですかマサ…トっ…!?」



テレビの前に座っていたセッシーに恐る恐る近付いては、聖川は後ろから抱き締めた。




「……………っ…」



後ろにいたランちゃんたちから微かに吹いた声が聞こえた気がしたが、オレは聖川の犠牲を無駄にはしまいとセッシーからリモコンを取り上げた。

そして直ぐ様電源ボタンを押した。





…が。






「…電源が…落ちない…」


いくらボタンを押しても電源が落ちない。



「ふっふー!こんなこともあろうかと!リモコンの電池を抜いておきました!」

「な゛っ…!?」

「くっ…セッシーやるな……」






違う。

感心している場合じゃない。



直ぐにディスクを抜かなければ……!




そう思い、聖川と共にレコーダーへ駆け出した瞬間。















『んぎゃぁ…んぎゃぁんぎゃぁぁああ!』

















………え。




「…これは…赤ちゃん、デスカ…?」


「うわああぁぁぁああああああああああ!!!!!!なんで俺があああぁぁああああああああああ!!!!!」






画面に映る生後間もない赤ちゃん。

本人も気付いたみたいだが、これは聖川だな。




「マサトが赤ちゃん!可愛いです!!」

「やめろ愛島っ!!見るなっ!!」

「どうしてですか!!レアですよ!?」






二人はテレビの前でリモコンと電池を取り合っている。



が。






「…これは…マスターコースの一環…かな。」


オレは後ろで見ていた先輩たちを見てそう問いかけた。

「…ほう…貴様、よく分かったな。」

「聖川の子供の頃の動画なんて、普通にしたら手に入らないからね。ボス辺りかな、と。それに…AVでランちゃんが反応しなかったからかな。」

「…はぁ?なんで俺がんなもんで反応しなきゃなんねぇんだよ。」

「いや、普段なら吹くかな、と。」

「貴様、よく分かっているな。」

「おいてめぇ、どういう意味だ。」






…いつも通りの二人の口喧嘩が始まった。

セッシーと聖川は相変わらずリモコンと電池の奪い合いを始めた。





「…これは時間かかりそうだな。」






オレは当初の目的の資料を探しては、4人の言い争いを見守ることにした。





今日も波乱のマスターコース。


きっと明日も。






─END─














「…AVって結局なんだったんですか、マサト。」

「そっ…それは俺に聞くなっ!」

「む…カミュー!AVってなんですか?」

「黒崎に聞け。あいつが一番詳しい。」

「…バロン…それはランちゃんに怒られ…」

「……てめぇ…嘘ばっか言ってんじゃねぇよ…」










蘭ちゃんはAVより週刊誌とかに載ってるグラビアとか不意打ちで見て、やられてそう←






─END─

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