短編夢小説

□ROT組+トライアングル組
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「…おい、お前ら何こそこそしてんだ?」



マスターコース中のとある日の夜。


俺が談話室に入るなり、トキヤと音也、嶺二先輩がテレビの前でこそこそしていた。




「…あっ!し…翔!今日もお疲れっ!」

「は…入るならノックぐらいしてくださいっ…」

「翔たーん!見てよこれ!これ!!」


あわてふためく二人とはうってかわり、嶺二先輩は楽しそうに何かを俺に差し出してきた。





「だっ…だめです!翔にはまだ早いで……」



「早いってなんだよ!小さいからって子供扱いすんな…って……ん?」





…ん?

手渡されたものは何かのディスク。




…何て書いてあ………






「………え…AV…………?」







白いコピー専用のディスク。


そこに黒いマジックでそう書かれていた。




「ちょっ…お…お前等!?なんでこんなもんっ……」


「ち…違います!わ、私たちはここで資料を探しては見ようとしてレコーダーを開けたら…それが……」




トキヤの弁解の様子から、別に怪しいところはない。

だから嘘じゃないのは確かだ。



それよりも。





「…これ…、中身…見たのか…?」





俺のその問いにトキヤたちは首を横に振る。


「ぼくちんが見ようとしたところを二人に止められてさー。翔たんは見たいよね?見てみたいよねっ?」

「えっ…えぇっ!?」



ずいっと顔を近付けては、俺にそう言い寄ってくる嶺二先輩。


その時、談話室のドアが開いた。




「ショウ。いつまで資料取りに行ってるの。もう2分35秒もかかってるよ。睡眠時間削る気?」

「…あ…藍……」

「アイアイーっ!!良いところにきたっ!!アイアイもさ!見たいよね!?」

「はぁ?何が?ていうかうるさいもうちょっと黙って。」

「んもうっ!アイアイ冷たい!アイアイもAV見たいよねって」

「…AV?」

「……あれ、アイアイ、AV知らない?」

「……あれか。性行為している…まぁ主に男女を普通のからマニアックなものまで取り揃えているアダルトビデオの略ね。うん、で?何でボクがそれを見たいなんて思うわけ?見たいのはレイジぐらいじゃないの?」

「えぇー。ひっどいなぁもう!嶺ちゃん泣いちゃう!」




藍の嶺二先輩の貶し方はいつも尋常じゃない。

まぁ仲が良いから許せるのかもしれないけれど……








「AVって何ですかぁ?あっ!もしかして!動物さんのビデオですかぁ?」







……那月か…



…めんどくせぇのが来やがった。




大体…

AVで動物…アニマルビデオなんて発想できんの今時お前ぐらいだろうな…






「うわぁ!僕も見たいですぅ!」

「ちょっ…四ノ宮さんっ…!?」

「わっ!ばかっ!那月っ…!!」




那月は俺から簡単にディスクを取り上げては、そのままレコーダーにセットしてしまった。



「…トキヤ…これ、ほんとにAVだったら…」

「…仕方ありません…そうだったら全員で四ノ宮さんの目を手で覆うしかありません…呉々も眼鏡には気を付けてくださいね…」

「おう…」




音也とトキヤと俺はそう那月にバレないように話し合った。







「じゃあー再生しますねっ!」




そう那月が再生ボタンを押そうとした瞬間。





「やっぱ待てぇぇぇええええええ!那月ぃぃぃいいいいいい!!!」








俺は全力で那月を止めにかかった。



こんなところで再生して、本当にAVだったらやばい。



色んな意味でやばい。





「…えっ…しょうちゃ……」






─カチッ








俺の全力の行動も無意味だった。

那月の手を掴んだが、びくともせずに那月は再生ボタンを押してしまった。







「「わああああああああああ!」」






そんな俺と音也とトキヤの叫びに近い声が談話室に響いた。
















『…にゃあー…にゃあにゃあ』














…………は?



「うわぁ!可愛い仔猫ちゃんです!翔ちゃん!見てください!可愛いですよ〜!」







「…………え?」








画面に映し出されたのは仔猫たちが戯れているシーンだった。









「…え…何……AVって…ほんとに…アニマル、ビデオ……え…?」


「……どうやら…そのようですね……」





そう、画面を呆けて見ていると、後ろから笑い声がクスクスと聞こえた。




「ほんっと…翔たんにトッキーにおとやん面白すぎっ…ぷっ…ふはははっ!」


「…レイジ…さっきから笑いすぎ。これもマスターコースの一環なんだよ。」




嶺二先輩の反応と、藍の言葉に那月を除いた俺らは首を傾げた。



「…マスターコースの…一環…?どういうことですか…?」



「つまり、リアクションとか性欲に耐えられるか的な。マスターコース寮にAVなんて本当にあると思ったの?」





…確かに…

マスターコース寮にAVなんかあるわけねぇよな…うん……





「…ショウ。がっかりしすぎなんだけど。AVなんて見なくたっていつも一人で……」


「ああぁぁぁぁああいいいぃぃぃいい!!!!!!てめええええぇぇぇぇぇえええ!!!!」


「何その口の聞き方。先輩に対してなってないよねほんと。ショウだけ課題追加ね。」


「でもぼくちん、AV見たかったなー」

「寿さんが言うとなんかえげつないので止めていただけますか。」

「トッキーは、どんなのが好き?やっぱメイドさんとか?」

「なっ…何を言って……」

「…へぇ…トキヤ…そんなのが好きなんだ…」

「ちっ…違います!変な誤解しないでもらえますか!」





こっちのマスターコースも大変だけど…


そっちはそっちで大変そうだな…


主にトキヤが。





「ナツキ。帰るよ。」

「え〜。まだ猫さん見ていたいです〜」

「那月、ほら、明日も早いんだ。戻って寝るぞ。」

「そうですね…私も明日朝早いですし。寝ます。」

「よっし!じゃあ部屋に戻ろう!うん!」

「レイジ。いつも夜騒いでるけど、あれほんとうるさいから。やめてほしいんだけど。」

「じゃあアイアイも一緒に騒ごう!」

「…お願いだからほんとに黙って。」










そうして、長かった今日のマスターコースも怒濤のように終わり、俺らは談話室を出た。










─END─







「ねぇねぇ!翔はどんなAV好き?熟女系?」

「はっ!?ばっ…ばばばばばかじゃねぇの音也!」

「えー。ばかってなんだよー。」

「お…お前は…どんなの見るんだ…?」

「そうだなぁ。俺は普通に清楚系の女の子とか…」

「ちなみにおにーさんはメイドさんが好きかなっ!」

「れっ…嶺二先輩っ!?いっ…今の聞いてっ…」

「やらしー話してるじゃなぁい。おにーさんも混ぜてよっ♪」

「……寿さん。あなたという人は…」

「あ、メイド好きなトキヤだ。」

「間違ったことを覚えないでくださいっ!!私はメイドなんてっ……」

「トキヤは好きな子がメイド服着てたら戦略的に襲い掛かりそうだよね。」

「ちょ!藍まで!?」

「あーわかるわかる!トッキー何だかんだで変態だもんね。」

「…寿さん…先輩だからっていい加減にしないとその口縫いますよ……」

「なんでぼくだけ!?アイアイはっ!?」

「ボクは事実しか言ってないもの。」








マスターコース中とはいえ男の子なんです。




─END─

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