短編BL

□弟からの熱い氷菓
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ピコピコピコピコ…

カチャカチャカチャカチャ…



じりじりと照り付けるような真夏の太陽。
外に出れば速攻で溶けてしまいそうなぐらいの昼間の気温。

まぁエアコンつけてるし部屋の中は快適だけどな、なんて思いながらソーダ味の氷菓を口に加えて小型のゲーム機で遊ぶ。

そんないつもと変わらない、高校2年の夏休み。

特別やらなきゃならないこともないし、部活もない。
遊びに行く予定もない俺は誰もいない家のリビングで一人ソファに座ってゲームをしていた。




「…またゲームしてるの。」


快適なリビングにいきなり入ってきたのは弟の藍。

中学3年の受験生で、自分の部屋でずっと勉強していたようだが休憩だかなんだかでリビングにやってきては俺にそう声をかけてきた。


「まぁなー…やることねぇし。」


俺は口に加えていたアイスを手に持ち答えた。


「宿題は?終わったの?」

「…それは言うなっつの…」



相変わらず嫌な弟だ。

ねちねちと俺の弱味に漬け込んではグサリとした言葉を突き刺す。



「ショウってほんとに小さい頃から変わらないよね。…身長も。」


「一言余計だ!!」



大体、兄貴の俺をショウって呼び捨てすんなと口を尖らせる。

そしてまたアイスを口に戻してはカチャカチャとゲーム機のボタンを押し始める。



「…ねぇ、ショウ。」


「…あー…ふぁんふぁよ」



名前を呼ぶなと言ったばかりなのに、ついつい返事してしまうのも如何なものかと思いつつも俺はアイスを加えながらそう問いた。

藍は俺の名を呼んではいきなり俺の目の前にきた。

ソファに座っていた俺の前に跪くと、下から見上げるようにして舌を俺の顔の近くに差し出した。



「…っ……!?」
「待って。…動かないで…」



いきなり弟に舌を差し出されたら誰でも驚くだろうがって怒りたくなったけれど、真剣な顔で動かないでなんて言われたら固まってしまう。


徐々に近付いてくる藍の舌は、俺の加えていたアイスに辿り着いた。



「…垂れそうだったから。」


「…ふぉ…ふぉっほっ…」


ちょっと待てと言おうとしたが、藍がいやらしい舌使いと音を鳴らしながら俺のアイスを舐め始める。

俺は何も言えずにただその藍の行動を見守ることしか出来なかった。


下から俺の顔を見上げるように時たま視線が絡み合う。

アイスを舐める藍の舌が徐々に上がっては俺の唇を掠めるか掠めないかの間際を艶かしく舐め上げる。


「っ……」


俺の前に跪いていた藍は、俺の顔に近付くために俺の膝を割って足の間に入ってきた。

さすがに耐えきれなくなった俺は、アイスの棒の部分を手で持った。


「っ…藍…!お前何してっ……」


「…あぁもう…垂れるってば…」


垂れたアイスはそのまま俺の手や腕を伝う。

冷たいべたべたした水色の液体が肘辺りまで伝うと、藍はそれが下に垂れないようにと俺の手首を掴んでは肘からつぅっと液体を掬い取るように舌先を滑らせた。

ぞくぞくするようなそのざらついた舌の感触が無性に俺を興奮させた。


何より藍の表情がいやらしかったんだ。



「…ショウ……あぁ、ちがった…」


腕から離れた藍の舌。

掴まれた手首はそのままで、手首ごと俺の唇にアイスを持っていっては表面を滑らせた。



「…ショウ、お兄ちゃん…だっけ?」


「なっ……ん…!」



唇の表面に滑らされていたアイスは、口を開いた瞬間に口の中に入れられた。

そのまま有無を言わさずにアイスを出し入れさせられ、鼻にかかった声が溶けたアイスと共に口の端から漏れ出す。


「…あーあ…ショウお兄ちゃん…エロい顔…」


口の端から漏れたアイスはそのまま首を伝い、鎖骨や胸元へと垂れていく。

冷たい液体に熱くなった身体が反応し始める。

それを藍の舌が余計に熱くさせるが、口の端から流れる液体は止まらない。



「ん、む…ぅ…あ、ぃ……」


「…ショウお兄ちゃん…可愛いよ…」
アイスが溶けるまで、藍は俺の口の中で出し入れを続けた。

溶けきったアイス。
何もついていない棒を藍は舐めると、そのままアイスでベタベタになった俺の唇にそっと自分の唇を重ねた。



「……ショウお兄ちゃん。ごちそうさま。美味しかった。」


「なっ…んなんだよっ…お前っ…」


「何って…ショウお兄ちゃん、の弟…だけど。」




お兄ちゃんと言う藍の言葉には嘲笑が含まれていた。


藍はアイスの棒をゴミ箱に捨てると、静かにリビングから出ていった。




何もかもが溶けてしまいそうな真夏の日差し。


それよりも、藍に舐められた身体の方が熱くて。



知ってしまったからには戻れない。


藍の熱。







─END─

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