短編BL
□ファーストキスはとっておいて
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「気になった…ねぇ…それはあれかい?今までおチビちゃんはしたことなくて、この先アイドルになったら余計出来ないんじゃないか、とか考えたからとかかい?」
「っ……!?!?」
…どうやら図星みたいですね。
まぁ…そんなことだろうと思っていましたが。
「だっ…だって…ほら…彼女…とかっ…出来たら…キス…下手だったら…恥ずかしい…じゃんっ…?」
……何なんでしょうかね。
さっきから黙って聞いていれば…
この…無償に弄り倒したくなるような衝動は…
「ふーん…だってさ、イッチー。」
レンはニコニコしながら私を見る。
「…何故私に振るのですか。」
「…さぁ?何でだろうねぇ…じゃ、愛の伝道師はここで退散するよ。」
…なっ…!
ここまで聞いといてこの先は私任せですかこの男はっ…!
「ちょ…レン待ちなさっ…」
そんな私の言葉もレンの部屋を出ていく扉の音に消えた。
「…はぁ…」
そう私がため息をつくと、翔は心配そうな顔をして私を見つめる。
「…ご…ごめんな、変なこと聞いて…」
「…いえ…別に…」
「ほら…レンや那月じゃまともに話出来ねぇし…トキヤならって思って…さ…」
…まぁ確かに…
レンや四ノ宮さんでは話は出来ないでしょうね…
「音也とかでも良かったのでは?」
「いや…ほら、あいつはあんまり経験無さそうだし…」
…私は経験ありそうだと見えたのでしょうか。
「…ま、良いや。そんなん焦っても仕方ないしな!話聞いてくれてありがとうな!」
翔はそう言ってソファから立ち上がった。
「…翔。」
立ち上がった翔の手首を、私は思わず掴んだ。
「え?…ど…した…トキヤ…」
「…練習、してみますか?」
「…へっ…?」