短編BL
□ばかになんてしてねぇよ
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「…へぇ…面白いことになってんじゃん…」
砂月は下にいる俺を見るなり妖しい笑みを浮かべた。
「いやっ…ちょ、待てっ…眼鏡っ…と…うわっ…!?」
落ちた眼鏡を拾い上げ、砂月にかけようとした。
が、起き上がっていた上半身は両手首掴まれ、持っていた眼鏡と共にベッドに組み敷かれた。
─…っ…こんな図体…敵うわけねぇか…
「抵抗…しねぇのな…」
自分の唇を舐めながら、砂月は顔を近づけてくる。
砂月の熱い吐息が首筋にかかり思わず身震いをする。
「っ…うっせ…」
「…口はご達者のようで。」
くくっと肩で笑う砂月に俺はむっとする。
「…どけよ砂月。」
「やだね。こんな面白い状況。那月になんか返したくねぇし。」
─…楽しんでる。
そんな砂月の心境が嫌でも伝わってきて、屈辱感が俺の頭を占める。
「…ばかにしやがって…」
「…ばか?ばかにはしてねぇよ」
「してんじゃねぇかっ…俺が小さいからって…こうやって…」
「…はぁん、成る程。だからお前さっきから羨望の眼差しで俺や那月を見てたのか。」
「っ…!」
砂月の面白がっている目なんて見たくねぇ。
俺は顔ごと砂月から背けた。
「ったく…んなこと思ってねぇよ。」
「…じゃあ…なんなんだよ…面白いんだろ…」
「そりゃあな。面白いよ。」
「な…んなんだよっ…くそっ……んっ…!?」
背けていた顔を無理矢理砂月の手で戻され、俺の言葉を封じるように砂月の唇が俺の唇に重なった。
「ちょっ…んっ…さ、つきっ…!!」
文句を言おうと口を開けば開くほど、侵入してくる舌先にビクンと体が跳ねる。
キスが強制的に終わる頃には文句さえも言えないほど息があがっていた。
「な…っ…で…キス、なんかっ…」
そう喘ぐように、絞り出すように俺は言葉を発したが、返ってきた答えは的を外れていた。
「…ばかになんて…してねぇよ…」
「…へっ……?」
砂月は真剣な表情をしながら、俺の首元に顔を埋めてきた。