短編裏BL
□お願いだから酔わさないで
1ページ/5ページ
「ちょっとアイアイ〜。苛々しなーいっ!もうすぐ皆来るから!」
「…別に。苛々なんかしてない。」
「美風が苛々か、珍しいな。」
「そういうカミュこそ、セシルがいなくて寂しそうだけど。」
「別に俺は愛島などっ…!」
はぁ、とため息をつくと、ボクの様子を伺っていたレイジにカミュ、そしてランマルは黙り始めた。
伺われていることにさえ苛つきは募るけれど、正直そんなことはどうでも良い。
今、ボクの恋人のショウが、ST☆RISH全員で露天風呂に入っている
それが今のボクの問題であり苛つきの原因だ。
ロボットであるボクは風呂には入れない。
だから様子を見に行くことも憚れる。
仕方なく、用意された自分の部屋で待っていると、先に露天風呂に入っていたレイジやランマルたちが先に戻ってきてはボクの部屋でボクの機嫌を伺っていた。
「まぁ久しぶりの休暇もらったんだしさ。しかも皆で!楽しもうよ!」
「お前はいつもうるせぇだろ。」
「そんなことないよ〜ランラン!シャイニーさんに感謝しなきゃね!一泊だけどホテルとってもらったんだし!」
そんなことを言ってニコッとボクに微笑んでくるレイジだが、いつも通りスルーする。
今日の朝事務所に行った途端、突然夏休みデースなんて言って気まぐれっぽくボクらに一泊分のホテルの部屋をとっては無理矢理連れてきた社長。
卓球やらボーリングやら色々やらされて、挙げ句の果てにホテルの部屋割りは最悪。
なんでボクがレイジと一緒なわけ。
それでショウはトキヤとレンと一緒。
ショウがあの二人と同じ部屋とかあり得ない。
速攻襲われるに決まってる。
もうほんと、社長は何考えてるのかわからない。
めんどくさいことこの上ない。
そんなこんなの本日二度目の重たいため息。
ボクが苛ついてることを、三人はただST☆RISHの面々が露天風呂から帰ってくるのが遅いからだと思っているらしい。
強ち間違ってはいないけれど。
ショウはモテるんだ。
モテるというか、愛されているというか。
ナツキやオトヤなんか日常茶飯事だし、セシルだって見過ごせない。
然り気無くトキヤやレン、マサトそしてレイジやランマルだって漬け込んでくる。
「…もっと警戒心を持ってほしいよね…あのバカチビ…」
思わず呟いてしまったが、部屋ではテレビがついていて、三人には聞こえなかったようだ。
.