短編裏BL

□アイが一番の薬
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─藍side─







「っ…なっ…あ……いっ…何…飲ませっ………んっ……!?」


「…即効性だから、すぐ解るでしょ。…身体で、ね。」



自分の身体の異変に気付いたショウは不安げな目でボクを見た。



「なっ…んだよ…これ、ぇっ……」

「…媚薬だけど。」

「なっ………」

「…罰だよ。ボク以外に、その唇を許した、罰。」

「あっ…あれはっ……!」





ドラマで共演した女の子に、楽屋でキスされていた。


それをボクはたまたま、目撃してしまった。


キスされたとき、ショウはただただ驚いていたけれど。





「…どうして、拒まなかったの。」



拒まないで、そのまま受け入れていたショウに、胸が苦しかった。




「……だ、って…解らなくてっ……あんな風に…女の子に…キス、されるなんて思ってなく、て……」





…解ってる。

ショウは優しいんだ。

女の子を傷付けたくなくて、拒めなかったんだ。



理解出来るのに。


それを上手く受け入れられない。


ただ、キスをした、その事実だけが頭に残っては何度もあのシーンを再生してしまう。




「……ごめん、ショウ。ボクは…キミのことになると…我が儘で…何も考えられなくなるみたいだ…」


「…えっ…あ、藍っ……それっ…誕生日、のっ………」





オトヤとトキヤがショウの誕生日にプレゼントしていた手錠がボクの手の中で金属音をたてた。



小さな鍵でしか外すことの出来ないそれを、ボクは手際よくショウの両手を頭の上で組ませては、手錠の鎖をベッドの柵に通し、両手に手錠をかけた。





「なっ…藍……」

「…罰だよ…悪いけど…今日は好きなようにさせて。」





じゃないと、気が済まなさそうなんだ。


嫉妬で、気が狂いそうなんだ。






「……良いよ…藍の気が…済むなら…俺……いくらでも……」







優しい翔。


その優しさが仇になるんだよ。


それでもキミは、優しく居続けるんだろうね。




だから、だからボクは好きなんだ。



その素直さが。


愛しいんだ、ショウ。
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