短編BL

□先輩面してても
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藍はいつも俺を後輩扱いする。

まぁマスターコースの関係もあるし、事務所に俺より前にいたんだからそれは仕方ない。

ただ、プライベートで、恋人同士でいたって、こいつは俺を後輩扱い…というより子供扱いする。



「…まぁ…別に良いんだけどさ…」

「…何か言った?」



ベッドの端に座っていた俺に覆い被さろうとする藍は俺にそう尋ねてきた。



「…あのさ、藍は俺のことどう見てるんだ?」

「…どうって…恋人でしょ。強いて言うなら受け。」



真顔でそんなことを言い放つ藍。



…まずそこが絶対間違ってる。




「いつ俺が受けだって決まったんだ!」

「いつって…そんなの一目瞭然でしょ。大体ショウに攻めが務まるわけ?読者だってショウの攻めなんて期待してないよ。」

「どっ…読者の話はすんなよ!!」

「だってアンケートも見てるでしょ?藍翔が良いです!って意見沢山きてるし。」

「いやそうだけど!見てるけど…って…押し倒すなっ…ちょっ…」

「アイドルならファンにちゃんと応えるべきだよね。そうマスターコースでも教えたはずだけど。だから、今日も大人しくボクに食われて。」




くっ…食われてなんて真顔で言うな!

そう言おうとしたけれど、ベッドに押し倒され上から威圧的に妖しく口角をあげる藍に何も言い返せなかった。




「…良い子だね…ショウ…」



ギシッと軋むベッド。

顔を傾ければ、俺にキスをしようとする藍。

そのまま待ってキスされるのが無性に腹立たしくて、俺は藍の後頭部を掴み、上半身を起こしては自ら唇を奪った。



「…ん、ぅっ……!?」


藍の予想を上回る行動だったのかもしれない。

大きく見開いた藍の目がそれを物語っていた。




「……なめんなよ…何時までも先輩面しやがって…」




藍の不意をついて、俺は藍の腕を引っ張り藍をベッドに押し倒した。



「…はっ…ちょ…ショウ…何してっ…」


藍は急な事に対し、思ったよりも焦っているようだった。



「…もっと怒るかと思ったけど…そうでもないんだな。」

「はぁ?何言って…」

「……先輩面…すんなよ…」

「っ……!」



いつも藍にされるように、首筋に舌を這わす。

俺の舌に反応する藍は首筋を伸ばし、身体を震わせる。

手の甲で口を押さえては声を堪えるような藍の表情に無性に興奮する自分がいる。




「だ、めっ…やめっ…ショウっ……」

「…やめねぇって言ってんだろ……」

「なっ…生意気だよっ…ショウのくせ、にっ…んっ…!」



いつまでも虚勢を張ろうとする藍の態度。

俺は藍の首筋の肌を唇で挟んでは強めに吸った。

赤い烙印が藍の白い肌に浮き出れば、藍は俺の背中をぎゅっと掴む。



「ん…、ばっ…か…ショウっ…い…いい加減、怒るよっ…!」

「……怒れよ…怒れるもんなら」

「なっ…何なのっ…今日のショウ…やだっ…いつもみたくボクに泣かされれば良いのにっ…」




何だこいつ。

こんな顔すんのかよ。


普段は15歳になんか全然見えないのに、

今は年相応だ。



「藍…お前……」


「っ……何っ……」



先輩になんて全然見えね…


俺の下でこんなに顔を赤らめて、恥ずかしがって。


瞳を潤わせては俺に熱っぽい視線を送る。



「っ…あ、いっ……」





「……なんて、ね…油断し過ぎ。」



「えっ……うわっ…!?」



藍の珍しい反応に気をとられ過ぎていた。

だから、藍の潤んでいた瞳も冷めたのも直ぐには認識出来なくて、そんな藍の言葉に俺の頭は停止した。


グッと腕を引っ張られれば、藍は俺の下にいるにも関わらず後頭部と腰に手を滑らせ逃げられないように固定する。




「…どう…?楽しかった?虚偽の攻めは…」

「っ…なっ…!?」


「ボクを攻めるなんて、100年早いよ。馬鹿ショウ。」


「おまっ…演技かっ……」


「……さぁ、どうだろうね。」




楽しそうに微笑む藍。

その続きは聞かせてくれなかった。




絡んだ足


腰や項を滑る手


塞ぎ絡まる舌


全てで封じられる。




「…ショウ…可愛いよ…」


「っー…うっせ…黙れ…」


「…黙るのは、ショウの方だよ。」


「なっ…んっ………」






15歳のくせに。

先輩面は止めない。


何のプライドだか全然わかんねぇけど…



それでも、お前に翻弄されるのは嫌いじゃないんだ。





「……好きの間違いだよね、それ。」



「あっ…頭ん中勝手に読むなっ…!」






俺…やっぱりお前が好きだ。


藍。


どんなに先輩面してたって。

きっと俺はお前から離れられない。



そっと抱き締めては、そう心の中で呟いた。







─END─

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