短編BL
□背伸びする弟
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「翔たああああん!」
「れっ…嶺二先輩っ…!?」
「翔たんほんっと可愛い!おにーさん翔たんみたいな弟欲しかった!」
抱き付いてくる嶺二先輩は、俺のことをそうやっていつも可愛がってくれていた。
マスターコースは別だ。
嶺二先輩は音也とトキヤの担当で。
俺は藍が担当していてくれて。
別に、それだけで、何も問題はなかったはずなんだ。
なのに…、
俺はいつしか嶺二先輩を目で追っていた。
特別な接点はまるでなかった。
ただ、いつの間にか、気になるようになっていた。
それこそ、いつの間にか誰かを気になり好きになるような、恋。
「……弟…か。」
…弟、としか見てもらえないのかな
今までも、今も…これからも
そんなの、辛すぎる…
でも…だからといってどうなりたいってわけでもない。
嶺二先輩だってもう大人だ。
俺なんか相手にしてもらえないだろうし。
そもそも、好きな人とか、付き合ってる人とか、いるんじゃねぇの。
「……それ…つらいわ……」
珍しくマスターコース寮の俺たちの部屋には俺しかいなかった。
ベッドでそう呟いても、寂しく自分の中で木霊するだけだった。