短編BL

□君がいないと
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……今日は藍と会っていない。



昨日も会っていない。



…一昨日も。





メールは毎日ちょいちょいしてはいるし、電話も数分はしている。




でもお互い仕事が忙しくて…




…いや、俺より藍の方がハードだよな…







今日の夜、部屋に来てくれるって朝にメールが来て以来連絡がない。


そして既にAM0:00を過ぎている。





てか…もう今日じゃねぇし……





仕事が忙しいのか…

一切連絡を寄越さないなんて珍しい気もする。



…いや、藍のことだし…
朝送ったから良いとか思ってるかな…






「…何かあった…とかはないよな…」






うずうずと何度もメールを問い合わせるが、新着メールはありませんと表示される。

そんな表示に何度も苛ついては、同じことをソファの上で2、3時間はやっている。


何杯お茶を飲んだだろう。


これじゃ待ちきれなくて、ご主人様の帰りを待ち続ける犬みたいじゃねぇか。





「……あーいー……」






3日ほど会わないだけで、こんなに寂しいなんて思ってなかった。


色々と辛くても、藍とずっと一緒にいられたマスターコースが無性に恋しくなる。




弱音とか絶対吐きたくねぇけど…


藍の名前呟いちゃう辺り、俺、もう相当キてるな…




ソファに横になっては、疲れていても眠れなく、軽く目を瞑った。








「…藍……すき……」







ため息交じりにそう呟けば、余計に寂しさが襲いかかり、涙が出そうになる目をぎゅっと強く瞑った。


















「……それ。本人の前で言ってよね。」
















─……!?!?







ずっと待ち望んでいた人の声がいきなり頭上で響き、俺は目を開けてはがばっと上体を起こした。





「えっ…あ……藍っ……!?」


「…合鍵。使わせてもらったよ。寝てるかと思って。」



ソファの傍に立っていた藍の手には、俺の家の鍵が握られていた。






…そうだ。


ついこの間、藍に俺の寮の部屋の鍵、渡しておいたんだ。










「…寝るわけ…ないだろ……待つよ、いくらでも……」



俺がソファから起き上がり、そう呟きながら普通に座り直す。







「…寂しかった?」


「っ…はぁっ!?」




突然の藍の質問に俺の声は裏返る。




…そういや…
さっきのも聞かれてたんだっけ…

なんて思い出して、余計に恥ずかしくなり藍から目を反らした。






「ほら、ショウ。言ってごらんよ。」



藍はソファに座っている俺の目線に合わせるようにしゃがみこんだ。




尋ねるような、それでも俺の心を突いてくるような視線に俺は虚言を述べることは出来なかった。





「……っ…さみ…し…かった…よっ…!」



羞恥心から声を少し荒げてしまい、俺は顔を見られたくなくて、藍の首元に抱きついた。

そんな俺の髪を、藍はゆっくりとあやすように撫でてきた。






「はいはい…遅くなってごめんね。」



「……ばーか。おかえり…藍……」



「ん…ただい…まっ……んっ……!?」








藍の返答を聞く前に、俺はお返しに藍の白い頬にそっとキスをした。

それに応えるように少しだけ桃色に染まった藍の頬を、俺は見逃さなかった。





「…っ……!?」


「…お…おかえり…の…ちゅー…?」







恥ずかしかったけれど、それでも照れた藍を見たらちょっと上手に立った気分になり、羞恥心も少しだけ薄れた気がした。



だけど、そんな俺を察したのか、藍は少しだけ下を向くと、直ぐに意地悪そうに口の端を上げてはとんでもないことを漏らした。










「……これは…そういう意味、で良いのかな?ていうか、そうじゃないなんて、言わせないよ……」



「……へっ…!?」




ソファに座っていた俺を引き寄せたかと思えば、急に押し倒された。


覆い被さってきた藍の表情は少し苦しそうに見えて。

切なく潤む藍の瞳に縛られかけた。





だから、






「…寂しかったのは、ショウだけじゃないんだから…」





そんな風に呟く藍に、俺は何も言えなくなってしまった。








「…だから、いただきます。」




「…へっ…ちょ…藍っ…んっ……!!」













同居生活とか始まったら、ほぼ毎日こうやって藍と愛し合えるのかな、なんて。





そんなことをふと考えてしまった、久しぶりに訪れた甘い夜は。


数日の寂しささえも吹き飛ばす。







そう、君と一緒なら。












─END─

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