短編BL
□数年後のファーストキス
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─…数年後…
「…ねぇショウ。」
「んー?」
学生時代にトキヤとあんなことがあったなんて忘れるぐらい、卒業してからは多忙な日々が続いていた。
マスターコースの先輩だった美風藍はここ最近一緒に仕事がすることが多い。
今日もまた、俺は藍と仕事…というか、藍の家で藍の作業の手伝いをしていた。
「…ショウはさ。キス、って。したことあんの?」
「ぶっ…!」
思わず吹き出した。
…そうか…あの時のトキヤも…こんな気分だったのかな…なんて、思い出してしまった。
「…何…汚いんだけど…」
「いやっ…お前がそんなこと突然聞いてくるからだろっ…」
「だって…ほら、恋愛がテーマの歌詞とかって、キス、ってよくでるじゃない。」
「…ま…まぁな…」
「だから、ショウはしたことあるのかなと。」
「いや…ねぇ…けど…」
「ふーん…」
…な…何なんだこいつ…
いや…まぁ15歳…だし…
そういうの気になる年頃…か?
「ねぇショウ。」
「…なんだよ…」
「キス、しよ。」
「ぶっ…!!!」
吹いたのは本日二度目。
「だから…汚ないってば。」
「…これは吹かざるを得ないだろ…」
こ…こいつはどんだけ俺を驚かせる気なんだ…
藍なりの冗談…なのか…?
「…良いでしょ?」
「いや…キスってのは…好きな人とするもんでっ…」
「…ボクはショウ、好きだよ。」
…なっ…!?
なっ…何をっ…!?
こいつは何を言い出すんだっ…!?
「ねぇ…ショウ…」
突然、ソファに座っていた俺の前に立ちはだかったかと思うと、藍はそのまま俺の背もたれに片手を付いて俺に迫ってきた。
「なっ…なん…だよ…」
「…良いでしょ…?」
水色の綺麗な瞳に俺の焦ったような顔が映った。