短編BL
□勉強なんて手につきません
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「ねーえー!トキヤああああああ!」
先程からずっと勉強している私の後ろで音也が私を呼んでいる。
「…なんですか。」
「あのさ、あのさ、ここわかんないんだけど…」
そう言われて、差し出された教科書の問題に目を通し、簡潔に答えてまた自分の勉強に戻る。
「成る程…ありがとうトキヤ!」
きっと笑っているのであろうその顔を見ずに、私はまた勉強に戻った。
「…ふぅ…」
音也には聞こえない程度にため息をつく。
─…勉強なんて…手につくわけ無いじゃないですか…
そっと後ろの机で勉強している音也の後ろ姿を見る。
─こんなに傍にいるのに…勉強に集中なんか…
しかし、今は期末前。
さすがに勉強しなければならない。
「…やるしかありませんよね…」
そうしてやる気を出した数分後。
「…ねぇートキヤトキヤトキヤトキヤトキヤトキヤトキヤトキヤトキヤトキヤここ教えてぇぇぇぇぇぇ」
─……
「先程の私の努力は無駄になったみたいですね…」
そうぽつりと呟くと、音也はきょとんとした顔で首を傾げる。
「何か言った?」
「いえ…なんでもありません。それよりどこですか。」
顔はなるたけ見ないようにし、音也が差し出す教科書に目を通す。
「…トキヤ…なんでさっきから顔見てくれないの?」
─…!
「…気のせいでしょう…それよりも…」
動揺を悟られないよう、教科書に戻ろうとする。
しかし、音也の手で教科書は閉じられた。
「…教えなくて良いんですか?なら私は勉強に戻りますよ…んっ…!?」
背を向けようとしたところに、音也が唇を重ねてきた。