短編裏BL

□お願いだから酔わさないで
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「…遅い。」



それから数十分。
まるで帰ってくる気配がない。


そんなに時間かかるもの?
普段の入浴時間なんて一時間もかからないのに。


「様子見に行ってくる。」

「もうすぐ来ると思うけどな〜」


立ち上がったボクを見てレイジはそう言うが、別に止めては来ないのでボクは外に出ようと部屋のドアを開けた。


「っ…うわぁっ!?あ、藍!?」


部屋のドアを開けた瞬間、廊下に現れたのは髪に水を滴らせ、はだけた浴衣を着ているショウの驚いた姿だった。


「…ショウ…遅かったね。」


ショウの安否を心配し過ぎて廊下にいたことにも気付かず少し怯んだが、ボクはそんな格好をしたショウを見てムッとしながらそう言った。


「そうかぁ?風呂気持ち良くてさ…な、音也!セシル!」

「うん!翔とお湯掛け合いしたの楽しかったー!」

「ワタシも!温泉貸し切り!とても楽しかった!」

「翔ちゃんの背中、小さくて可愛くて洗いやすかったですよ〜!」

「小さいとか可愛いとか言うな那月!」

「おチビちゃんはどこもかしこも小さいよね」

「レン、あまりそういうこと言わないであげなさい、翔が可哀想ですよ」

「っ…お前らっ…」

「来栖、気にするな。まぁ…その…なんだ、一十木や愛島と遊んでいるお前も、かわいかっ…いや、ごほん、何でもない…」

「……聖川までっ…」


目の前で彼らと和気あいあいと話すショウ。

ボクのだって言いたいけれど、我慢するしか術はない。


「とりあえず、入ったら。」

「あ、おう。」


素っ気なくそう言うことしか出来なくて、ボクはまた部屋に入っていった。



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