[続]初恋cherry.(1〜77)

□42話
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「俺達ももうハタチかあ〜」

「そうだね。ほんと、あっという間な感じ…」

「この間まで高校生だった気がするのになあ」


あ、それ、私も今日そう思った。

こういうの、以心伝心っていうのかな?

こうやって同じこと考えてるのって、諸星くんとの距離が更に近く感じてすごく嬉しい。



「咲季、ハタチの抱負は?」

諸星くんが問いかける。


「ハタチの、抱負かあ…」

「えっと、大学もバイトも引き続き頑張って、周りの人を大切にできる素敵な大人になりたい…です!…諸星くんは?」


「俺?俺はインカレ優勝!まずはそれだな〜」

「うん!去年はベスト4で惜しかったもんね」


「後はやっぱり格好良い大人の男になりたいよな」

「……もう、充分格好良いよ?」

諸星くんがこれ以上格好良くなったら、私、諸星くんのこと直視できなくなっちゃうよ。

今でもドキドキして大変なのに。


「んー、何て言えば良いんだろ…例えばさ、今俺は咲季が可愛過ぎて抱き締めたいなーとかキスしたいなーとか思っちゃってるワケよ」

「でもさ、こんなとき大人の男だったらサラッと我慢できたりすんのかなーって」

「つーかそもそもこんな風に馬鹿正直にキスしたいとか言わないだろうし。そういう所がまだまだガキなんだよなあ、俺」


諸星くんが唇をツンと尖らせて話す。


「……私はそのままの諸星くんが好きだよ?諸星くんの素直なところ、大好きだから…」

諸星くんを見上げて彼の手をキュッと握った。


「バスケしてる所も、おっきな手も、全部、好きだから。だから、えっと、我慢とか、しないでね?」


自分の顔がカァっと熱くなるのがわかる。

こんなこと言ってすごく恥ずかしいんだけど、全部本当のことだから。

諸星くんの全部を知りたいし、受け止めたい。

我慢なんて、してほしくないよ。


「ありがと。すげえ嬉しい。でもさ、我慢しなかったら咲季毎回大変だよ?」

諸星くんは私の手握り返してから顔を覗き込む。


「大変、って?」

「俺の愛が大き過ぎて」

「っ、嬉しいから大丈夫!」

「そう?スッゴイよ?」

「がっ!頑張る!」

「ははっ!頼もしいな〜」


諸星くんの愛なら、いくらでも欲しいよ。

もう十分すぎるくらいもらってるんだけど、まだまだ欲しいなんて思う私はほんと欲張りだ。



「あ、咲季にもうひとつ頑張ってほしいことあった」

「えっ、何?」


「花嫁修行」

「!!!」

「あ、でも咲季には必要ないか。料理上手いし」

「はい、家着いたよ。同窓会楽しんで、帰ったら連絡してね。じゃ」


チュッと触れるだけのキスをして、諸星くんは帰って行った。


私はその場にへたり込みそうになるのをやっとのところで耐える。


わかってたことだけど、今、もう一度確信した。

ハタチの私も、諸星くんが好きで好きで仕方ないってこと。

この気持ちだけは、いつまでも変わらないって自信を持って言えるよ。


諸星くん、花嫁修行、頑張るね!

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