[続]初恋cherry.(1〜77)

□33話
1ページ/1ページ

明日から、諸星くんのバスケのインカレが始まる。

全部の試合に行くのは無理だけど、やっぱり初戦くらいは会場で応援したくて。

諸星くんの邪魔にならないように明日試合を観に行って、日帰りで愛知に帰るつもりだったんだけど、そのことを伝えると


『泊まって帰ってよ。家に帰ったとき咲季が居るの、すげえ嬉しいから』

『あとさ、前日も居て欲しいんだけど…ダメ?』


断る理由なんて当然ない私は、二つ返事でOKをした。




という訳でインカレ前日に東京に来た私は、諸星くんの練習を見学するべく大学の体育館に居る。

晩ごはんを作って待ってる約束だから、少しの時間しか見れないけど。


明日から試合なだけあって、練習の熱もすごい。

いつも楽しい雰囲気の三井さんや土屋さんの表情も真剣そのもので。

ビリビリと気合いが伝わって、試合のときみたいに手に汗握ってしまう。


試合形式の練習で、諸星くんがドリブルで切り込んでシュートを決めた。


かっ、こいー!

やっぱりバスケをしてる諸星くんが一番素敵!

目をハートマークにして眺めていると、



「キャー!諸星くんナイッシュー!」


近くに居た同じように練習を見学をしている女の子グループの1人が諸星くんに声援を送った。

でも諸星くんは高校のときと同じで、ギャラリーには見向きもしないで練習に集中している。


あの子、諸星くんのファンなのかな…?

チラリと見てみると


「もう諸星くんほんっと格好良い!全然こっち見ないで真剣なところもたまんない!」

「アンタほんと諸星くん好きだよねー」

「もう告っちゃえば?」

「無理無理!だって彼女いるって噂だよ!?」

「でも遠距離じゃなかったっけ?とっちゃいなよ」

「え〜〜〜」

「え〜って!まんざらでもないよこの子」


キャピキャピと盛り上がる女の子達。



……と、とんでもない話を聞いてしまった。



諸星くんは2年生になってレギュラーの座を勝ち取った。

だから、元々のルックスも手伝って、女の子にも注目されてるんだと思う。


あの子の気持ち、すごくわかるなあ。
私も片想いのときはただ見てるだけでもめちゃくちゃ大好きだったから…


諸星くんにファンが居るなんてわかりきってたことだし、ああやって彼を本気で好きな子だって……

高校時代から何人も見てきた。
けど、久しぶりに目の当たりにすると、やっぱりこたえるなあ…



それから少しだけ見学をして、諸星くんの家に帰った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ