[続]初恋cherry.(1〜77)
□24話
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あれから数日、大学で南さんを見かけることはなくて、いつも通りの日常に戻った。
この間の飲み会で友達数人は薬学部の人と良い感じになってて、毎日恋バナで盛り上がっている。
友達の幸せそうな姿を見れて、私も嬉しい。
次の講義には仲良しグループの友達は居ないので、1人講義室へ向かう。
1人なので早足にスタスタと歩いていると、女の子数人の中に背の高い男の人が立っているのが視界に入った。
「南くーん、そろそろアドレス教えてよ〜」
「今度飲みに行かない?」
「私もバスケサークル入ろっかな〜」
男の人は見覚えのある姿で。
あれって…南さん、だよね?
すごい…女の子に囲まれてるよ。
そういえば南さんはモテるって岸本さんが言ってた気がする。
それにしても南さんの表情…
無表情なんだけど、でも、機嫌悪いのかな…眉間のシワがかなり深い気がする……
というか、女の子の話、全部無視してるし。
チラリと横目で見ながら、南さんと女の子の集団の前を通り過ぎようとしたとき
「ちょぉ待って」
「……………え?」
まさか自分に話しかけているとは思わなくてそのまま歩いていたけど、周りの誰一人として反応する人は居ない。
「……私、ですか?」
自信なさげに聞いてみる。
私で合ってます?
というか、周りの女の子の視線が突き刺さって痛い…
「おう。ちょっとええか?」
「???はい…?」
訳が分からないまま南さんの後をついて行く。
前回もこんな感じだった気がするんだけど……
「…急にスマンな」
先程の場所から少し離れた場所にくると、南さんが軽く頭を下げた。
「あ、いえ。お友達、大丈夫だったんですか?」
「友達ちゃうし」
「そ、そうなんですか…」
「あいつら…人のことしょっちゅうつきまとって鬱陶しいねん」
「さっき捕まってどないしよ思てたからアンタが通りかかって助かったわ…」
相変わらず不機嫌そうな顔つきで淡々と話す。
「きっと、南さんのこと好きなんですよ」
だって、私を見る目がすごかったもん…
“アンタ南くんの何?”って顔に書いてあった。
心配しなくても私は諸星くん一筋だから大丈夫なのになあ。
なんて、あの子達が知るわけないんだけど。
「女は好かん。ピーピーうるそぉてかなわん」
「ふふっ、女の子はお喋り大好きですからね」
「……アンタはうるさないな」
「そうですか?私もお喋りなときありますよ?」
「じゃあ私、次の講義あるんで行きますね」
「あぁ、スマンかったな」
講義を受けながら、南さんって笑ったりするのかな、なんてぼんやり考えていた。
でも、いくら無表情の南さんでも仲良しの友達と居るときは笑うよね。
私、諸星くんの笑った顔大好きなんだよね。
特にごはん食べてるときの幸せそうな顔がたまらなく好き。
何を考えていても、結局諸星くんに繋げてしまう私って重症だなあ。
なんて、心の中で苦笑いした。