[続]初恋cherry.(1〜77)

□13話
1ページ/1ページ

「そうそう!今諸星くんが覚えてるって言ってた南くん、咲季と同じ大学なんだよ」

「わ、そうなんだ?」

「あれ?南バスケやってねえの?」

「あいつ実家薬局やねん。せやから薬学部行っといて忙しいからバスケはサークルでええんやと」

「そっか、うまいのにもったいないな」

「薬学部かぁ。知り合いは居ないなあ」

「咲季と南くんが知り合うことはなさそうだな〜」

「ユッちゃん、会ったことあるの?」

「うん。ゴールデンウイークに1回会ったんだけどね。もう、すっごい無愛想なの!笑えるくらい!」

「無愛想、、なんだ?」

「せやねん。いっつもぶっすーしといてな、あんまり女と喋らんし。でもモテんねん。腹立つわ」

「実理とは顔の構造がねぇ〜」

「お前シバくぞ!」



「せや。諸星、大栄の土屋て覚えとるか?あいつも東京の大学行っとるらしいで」

「土屋なら同じ大学でバスケやってるよ。あと、湘北の三井も」

「あ、そうなん?土屋、あいつもスカしたヤツやで…」



しばらく皆で話してから、ユッちゃんカップルとバイバイした。



「世間って狭いね?」

「うん。俺、岸本のこと覚えてなくて悪いことしたなあ〜」

「ふふ、すごい怒ってたけど、良い人そうで良かった」

「だな!原田さんとお似合いだったよなあ」

「息ピッタリだったよね」



それから屋台でいくつか食べ物を買って、河川敷で花火が打ち上がるのを待った。


「今日、ウチ寄れる?帰りはちゃんと送るからさ」

「うん、大丈夫だよ」

「母さんが咲季に会いたがっててさあ」

「わあ、嬉しいな」

「あと父さんと姉ちゃんも」

「わっ、家族皆居るんだね。緊張するなあ〜」

「ははっ!大丈夫大丈夫!」



ドォーーーーン

ドォーーーーン


「あっ、花火始まった!」


「すごい、、綺麗だね」

「うん」



去年は、ユッちゃんと一緒にお祭りに来て花火を見た。

ユッちゃんは、諸星くんに振られてめちゃくちゃ落ち込んでた私を、何度も遊びに誘ってくれて元気づけてくれて、本当に本当に救われた。

今年は、ユッちゃんにも彼氏ができて、私は諸星くんと並んで花火が見られて…


こんなに幸せなことってない。


色とりどりの花火を見上げながら、ちょっとうるっときてしまった。



「来年も一緒に見ような?」

隣で、諸星くんの声がした。

それと同時に私の右手は、諸星くんの大きな左手で包まれて。


花火がにじんで見えなくなった私は、諸星くんの左手をギュウって握り返した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ