[続]初恋cherry.(1〜77)

□12話
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「咲季〜!こっちこっち〜!」

「あっ!ユッちゃん!」


会場の入り口にユッちゃんの姿。
でも居るのはユッちゃん1人で、彼氏らしき男の人は居ない。


「咲季〜!久しぶり〜!諸星くんも!」

「うん!久しぶり!ユッちゃん浴衣似合ってるね」

「原田さん久しぶり。元気してる?」

「元気元気!咲季も可愛いよ?相変わらずラブラブみたいで安心した」

「えへへ。ユッちゃん、彼氏さんは?」

「あぁ、今トイレ行ってんの。もうすぐ戻ってくると思うよ」

「楽しみだな〜ユッちゃんの彼氏」

「そう。俺達ずっとその話しててさ」

「いやいやいや!期待しちゃダメだよ?諸星くんと比べたら月とスッポンって感じだから!」



「誰がスッポンやて?」



「あ、戻ってきた。この人、スッポン。じゃなくて、私の彼氏」

「スッポン言うな!ども、岸本実理いいます」


「……あっ!初めまして。川瀬咲季です」

「咲季の彼氏の諸星大です」


ついガン見してしまった。

だって、諸星くんと同じくらい背が高くて、ロン毛で、、何ていうのかな?すごく迫力があったから。

正直、意外で。


「唯の親友やいうからもっとガサツな女想像しといたけど、可愛らしい子やな?」

「ちょっと!それ私のイメージどうなの!?」

「そのままの意味やろ」

「ガサツな顔のアンタに言われたくないし!」

「なんやと!?」



「「ぷっ」」

「「あはははっ!」」

私と諸星くんは同時に吹き出して笑ってしまった。

だって、すごく仲良しでお似合いだったから。

ユッちゃんは“もう何なの〜?”ってしかめっ面をしていたけど、幸せそうで、私も嬉しくなった。



「おい、愛知の星」

岸本さんが諸星くんに話しかけた。
しかも“愛知の星”って…諸星くんのこと、知ってるのかな?

「お前、東京の大学行っとるらしいな?」

「…?そうだけど」

諸星くんは急に話しかけられてキョトンとしている。


「……もしかしてお前、俺のことわからへんのちゃうやろな?」

「…ごめん、わかんない。どっかで会ったっけ?」

「っ、なっ!」

「っ!あっはっはっはっ!実理マジでダサいんだけど!何が“俺は愛知の星と知り合いやで”よ!もーやめてほんと!」

「唯うっさい!俺は豊玉の岸本じゃ!大阪の!2年のときインターハイで当たったやろが!」

「豊玉……南ならわかるんだけどなあ。ごめん」


申し訳なさそうにしている諸星くん。

怒りにブルブル震える岸本さん。

ひぃひぃ笑っているユッちゃん。


そんな3人を私は微笑ましいな〜なんて思いながら眺めていた。

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