[続]初恋cherry.(1〜77)

□2話
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学生活が始まって半月が過ぎた頃。



♪♪♪

諸星くん専用の着信音が鳴り響く。


「もしもし」

「あ、咲季?俺だけど、今大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

「今部活終わったよ」

「お疲れさま」


すごく忙しいはずなのに、こうやっていつも連絡をくれる諸星くん。

付き合って半年以上たつのに、いまだに声を聞くだけでもドキドキしてしまう。

電話くらいいい加減慣れなくちゃと思いながらも、やっぱり格好良すぎてちょっと無理そう。




「…あのさ、」

「??うん」

諸星くんの声のトーンが下がったのがわかった。


「今度のゴールデンウイークなんだけど…」

「うん」



「愛知に帰れそうになくてさ…」

「…そうなんだ」


「最終日に試合があって、毎日部活なんだ…」

「そっかあ…部活なら仕方ないね」


諸星くんの声色からあまり良い話じゃないことは薄々感じたけど、そういうことだったんだ……


「ゴメンな。俺、咲季に会えるのすげえ楽しみにしてたんだけど…部活休むわけにはいかないからさ」

「うん、残念だけど、諸星くん部活頑張ってね!試合には出られそう?」

「本当にゴメンな。試合はどうかな〜先輩達レベル高いからさ。でも出してもらえるように頑張る!」





電話を切った後、私はわかりやすく落ち込んでいた。

部活なら仕方ないし、諸星くんにはバスケを頑張って欲しいし、私はバスケをしてる諸星くんが大好きだから。


仕方ないんだけど、仕方ないってわかってるんだけど………やっぱり会いたかったなあ。


ベッドにうつ伏せになって悲しみに浸る。





……


…………ん?


……………あっ!


そうか!

そうじゃん!


閃いた私は、携帯を手にとって諸星くんに電話をかける。



「もしもし、どした?」

「あのね、ゴールデンウイーク、私が諸星くんに会いに行っても良いかな?」


諸星くんが愛知に帰って来れないともう会えないって思ってしまっていたけど、私が会いに行けば良いんだよね。

ショックでそんな簡単なことも思い浮かばなくて。


「えっ!?良いの?」

「ダメ、かな?」

「ダメじゃない!ダメじゃない!嬉しすぎてヤバいんだけどさ、それは無理かなって思ってたからビックリした!」

「でもさ、咲季の親御さんは何も言わない?さすがに日帰りは難しいから泊まりになると思うし…」

「多分、大丈夫だと思う。あ、今からだったら宿とれないかな?でも取れなかったらネットカフェとかでも良いし…」

「咲季何言ってんの?俺ん家に泊まれば良いじゃん」

諸星くんが当たり前のように言った。

「……っ!えっ!?」

「てか、女の子がネットカフェで泊まるとか絶対ダメだから。危ないし」

「あの……」

「俺ん家、やだ?」

「いやっ!全然!全然嫌じゃないんだけど…あの、良いのかなって…」


正直、全然そんなこと考えてなかった。
“諸星くんが来れないなら私が行けば良いんだ”って思っただけで、泊まりになるとか、どこに泊まるとか…もう、全く。


「良いに決まってんじゃん。むしろ泊まってほしいし」


「えっと、じゃあ……お邪魔します」

「うん!じゃあ決まりな!やば、嬉しすぎるんだけど。すげえ楽しみだな〜」


諸星くんに会えるんだ。

嬉しくて、嬉しすぎて、飛び跳ねたいくらい。


電話だから私の顔は諸星くんには見えないのに、こんなニヤけ顔をしてるのが恥ずかしくなって、手で口元を覆った。



ゴールデンウイークが待ち遠しい。

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