(33〜55)

□52話
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3月1日。

今日、私は愛和学院を卒業する。


卒業式。

校長先生の話を聞きながら3年間を振り返る。



思えば私の高校生活は、諸星くんでいっぱいだった。

2年間はただ見てるだけの片想い。

3年になって、私のドジから知り合いになれて、勢いで告白して、振られて……

諸星くんが告白してくれて、付き合うことになって。


私の世界はバラ色になった。

大げさかもしれないけど、本当にそんな感じで。



諸星くんと出会えた愛和学院。

卒業したら私達は遠距離になる。

寂しくて仕方ないけど、好きだから、大好きだから、頑張るって決めたんだ。




在校生代表の心のこもった送辞と、卒業生代表の思いの詰まった答辞に涙腺が緩む。

退場のときには、感極まってボロボロ泣いた。


そんな私にユッちゃんは

「咲季やっぱり泣いた〜!」

って笑って冷やかす。

私の親友は最後まで男前だ。




最後のHRが終わって、クラスの皆と写真を撮ったり、卒業アルバムにメッセージを書きっこしていた。

ちなみに、卒業アルバムの諸星くんの写真はすでに穴が開くほど眺めた。


「ねぇ咲季、この後諸星くんと約束してないの?」

「あ、うん。特には…」

「えっ!?ボタン貰わなくて良いの?あ、また後日貰う感じ?」

ユッちゃんの問いかけにギクリとした。

「いや、あの、、実は、第二ボタン欲しいって言えてなくて…」

私の言葉にユッちゃんは目を大きく見開いて絶叫した。

「えーっ!咲季何やってんの!アンタの旦那がどれだけモテるか咲季が一番わかってるでしょーが!」

「うん、そうなんだけど、、言うタイミングが掴めなくて…」

我ながら情けない。

でも、第二ボタンって特別なものだから、ちゃんと言わなきゃって思ってるうちに当日になってしまって……


「呆れた〜。それが半年付き合ってる彼女のセリフ?ほらっ!早く諸星くんとこ行きな?男は鈍感なんだから、何も思わず誰かにあげちゃってるかもよ?」

「う、うん」


ユッちゃんに促されてカバンを掴む。



その時




ガラッ




「咲季っ!」



教室のドアが開いた。



入り口には、、諸星くん。


教室に残ってるクラスメートの視線は、一斉に諸星くんに向けられた後、私に向いた。


私は目を丸くして佇んでいた。

諸星くんが、居る。

さっき、私の名前、呼んだよね?


諸星くんが私のクラスに居るのが信じられなくて、唖然とする。



「咲季?咲季っ!諸星くん来てくれたよ!」


ユッちゃんが私の顔を覗き込むと、やっと状況が飲み込めた私は我に返った。



「あ、あ、うん!ユッちゃん、また連絡するね?」

「皆、バイバイ!」


「私も電話する!バイバイ!」

「咲季バイバ〜イ」



皆と挨拶して、諸星くんの元に駆け寄る。


「おっ、お待たせ」



「うん、一緒に帰ろ」

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