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□42話
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私は軽く服を着て、諸星くんは上半身裸のままで、2人でベッドに横になっていた。



「身体、平気?」

「うん、ちょっとお腹、痛いけど」

「やっぱり無理させすぎたかなあ」

諸星くんが眉を下げて笑う。

「ううんっ、大丈夫だよ」

「そう?なら良いんだけど」


そう言って諸星くんは横向きの体制から、顔を私の方へ向けてうつ伏せになった。

そのとき、彼の背中の傷に気が付いてしまった。


私が、しがみついて引っ掻いてしまった赤い傷。


「諸星くんっ!ごめん!背中…痛いよね?」

「ん?大丈夫大丈夫。むしろ嬉しいっていうか。咲季、必死で可愛かったし」


さっきの行為を思い出して、また顔が赤くなる。
この赤面症、どうにかして欲しい。



「俺さ、サンタ来たよ」

「え?」

諸星くんのいきなりの発言に、すっとんきょうな声を出してしまった。


「…咲季の初めて、もらっちゃったし」

「わっ、私も、サンタさん来たよ?」

「ん?何もらったの?」


「……諸星くんの、愛、とか…」

自分で言って照れてしまって、更に顔が真っ赤になって、たまらず頭まで布団をかぶった。

でもすぐに布団ははがされてしまって、諸星くんがニコニコと私を見た。


「そんなの、365日、あげるよ」


「…730日でも、良いですか?」

「ははっ、咲季は欲張りだなあ。……嘘。毎日、何年でもあげるよ。俺も欲しい」

「わっ、私ので良ければ、喜んで」

「言ったろ?咲季のが良いって」


諸星くんはまた横向きになって、私の頬を両手で挟んでコツンとおでこを合わせたあと、ちゅってキスした。



サンタさん、神様、諸星くんに出会わせてくれてありがとうございます。

彼と出会えて、今日、世界一幸せな女の子になれました。





諸星くんの家をおいとまして、駅までの道のりを2人で歩く。


「家まで送らなくて良いの?」

「うん、最寄り駅までお母さんに車で迎えにきてもらうから」

「そっか」


駅前にはたくさんのカップルが居て、これから夜のデートするのかなとか思うと、無性に寂しくなった。

私達はバイバイしちゃうのに。



改札に着いて


どうしよう。
まだ離れたくないよ。



「あのっ、やっぱり、家まで送ってもらっても良い、かな?」

「うん、全然良いけど、お母さん大丈夫なの?」

「メールしとくから平気。……もうちょっと、一緒に居たくて…」


「…そんな可愛いこと言うの、反則」

諸星くんは手をつないでいない方の手で私の頬をつまんだ。



家の前に着いて、名残惜しくてまだ手を離せないで居ると、諸星くんが周りをキョロキョロして誰も居ないことを確かめると、触れるだけのキスをした。


「またメールするから」

「うん」

「またね」

「うん、またね。気をつけて帰ってね」

手を振って、別れた。


「ただいま」

「あ、おかえり〜。楽しかった?」

「うん、楽しかったよ」

「送ってもらったんでしょ?ちゃんとお礼言った?」

「言ったよ。私、お風呂入るね」

お母さんと少し話して足早に自分の部屋に向かった。

お母さんの顔、うまく見れなかった。
目を見て話すと、今日あったことが見透かされてしまいそうで。


着替えを持って、お風呂場へ行く。

服を脱ぎながら、ふと洗面台の鏡に目をやると、鎖骨に赤い印が刻まれていることに気が付いた。


…私、今日諸星くんと…わー!わー!わー!わー!


急いで服を全部脱いで湯船に飛び込んだ。


…えっちしちゃったんだ。


まだ残る下腹部の鈍い痛みに実感を覚える。


恥ずかしくて死にそうだったけど、嬉しかったな。

諸星くんが格好良くて、格好良すぎて、、あーだめだ。


これ以上ないくらい好きだと思ってたのに、もっと好きになっちゃったよ。



今夜は眠れそうにないや。

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