初恋cherry.(1〜32)

□11話
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お昼休憩をして、全員参加の綱引きをして、またクラステントの一番前に座っていた。


諸星くんがリレーに出るから。


毎年諸星くんのリレーときは目をハートにしてしまう。

真剣に走る姿が格好良くて格好良くてたまらないんだよね。


リレーのメンバーが入場して、私が走るわけでもないのにドキドキしてユッちゃんの腕を掴んでいたら


「やっぱり!」

ユッちゃんが叫んだ。

「えっ?」

「足!足見て!諸星くんの足!あれって咲季があげたミサンガじゃない!?」


え?ええっ?


信じられないと思いながらも諸星くんの足首を見ると


彼の左足首に


黒と、ライトグレーと、深い赤。


私が夏休み前に渡したミサンガがつけてあった。



「〜〜〜っ!」

ビックリしすぎて声にならない。

私は諸星くんの顔ばかり見て足元は全く見ていなかった。

むしろ、あの時振られたことばかりが記憶に残っていて、ミサンガを渡したことすらも頭から消えていた。


「やっぱそうだよね!?すごくない?諸星くんつけてくれてたんだよ!咲季やったじゃん!」

ユッちゃんが興奮して抱きついてくる。


私はロクに返事もできず、リレー中もひたすら諸星くんの足元を見続けた。




体育祭のトリは、毎年3年生全員でフォークダンスをする。


私も1、2年生の頃は、このフォークダンスをすごく楽しみにしていた。

だって、諸星くんと手を繋げるかもしれないから。


でも現実問題それは無理そうで。

なぜなら愛和は生徒人数が多すぎる。

全12クラスあって、私は2組で諸星くんは10組。

クラス順で並ぶから時間内に私と諸星くんが向かい合う確率は限りなく低いと思う。


音楽が鳴って、フォークダンスが始まる。


結局、淡い期待は打ち砕かれて最後まで諸星くんと向かい合うことはなかった。



最後に向かい合った男子と手を繋いで退場する。

私は去年同じクラスだった佐藤くんと手を繋いだ。


「なあなあ、」

佐藤くんに話しかけられる。

「ん?」

「先生達、泣いてる」

先生の方を指差す。

そこには感動して泣いている先生達の姿があって。

「あ、ほんとだ…」

「あ〜でも楽しかったなあ」

「私も、楽しかった」

「明日も楽しみすぎてやべー!」

「うん、そうだね」

たわいもない会話をしながら退場した。



今日はあんまり役には立てなかったけど、諸星くんと少し話せたし、何よりミサンガをつけていてくれたことがわかって嬉しかった。


明日の文化祭も、諸星くんのことが沢山見られますように。

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