初恋cherry.(1〜32)
□9話
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愛和祭1日目。
1日目は体育祭。
正直私はあんまり役に立てないと思う。
走るの遅いから。
諸星くんは毎年体育委員をしてて、体育祭の日はバタバタと忙しそうにしてる。
こういう学校全体行事のときは、諸星くんを見れる機会が増えて本当に嬉しい。
私が出場するのはスプーンリレーと全員参加の綱引き。
見事に脚力が関係ないものばかり。
諸星くんは何に出場するのかな…
リレーには毎年出てるし、部活対抗リレーもあるし、後は何だろう。
自分のクラスも応援しなきゃだけど、皆ごめん、諸星くんが走るときだけは諸星くんの応援をさせてください!
体育祭が始まって、何種目か終わると、私が出場するスプーンリレーの集合アナウンスが流れた。
入場ゲートに向かって歩いていると
「スプーンリレー出る人ー!ここに集合ー!」
体育委員の仕事で集合をかけている諸星くんがいた。
私が近くに駆け寄ると
「あ、川瀬さんじゃん。スプーンリレー出るの?」
諸星くんが気づいてくれた。
「うん、私走るの遅いから、こういうの専門」
「あー、そうっぽいね」
おどけた顔で笑う。
「っ!ひどいよ〜」
「あっはは!ごめんごめん、頑張ってよ。俺もこの後の借り物競争出るから見てね」
「え、諸星くんが、借り物競争?」
何だか意外。
「うん、1人休んじゃってさ、代わりに出んの。もし走るのが遅い人ってお題が出たら、川瀬さんとこ行くからよろしくね」
「もーっ!」
「あはははっ!…お、ぼちぼち入場だな。ハイじゃあ入場しまーす!着いてきてー!」
最近、諸星くんと普通に話せている自分にビックリする。
めちゃくちゃ緊張はするし、ほとんどは諸星くんが話しかけてくれてるんだけど。
話せば話すほど諸星くんは魅力的で、好きがドンドン増えていく。
借り物競争で諸星くんが私のところに来てくれたら、諸星くんと手を繋ぐのかな、なんて不純なことを考えていたら、本番、ピンポン球を1回落としてしまった。