初恋cherry.(1〜32)
□7話
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『好きです』
ななな何言ってんの私!?
ミサンガを渡して、受け取ってもらえて、諸星くんが笑ってくれたことが嬉しくて…大好き!って思った瞬間、口から言葉がでてきた。
諸星くんはビックリした表情をしている。
「ち!違うんです!いや、違わないんですけど、えっと、私1年生のときから諸星くんのことが好きで、でも!諸星くんは今はインターハイに集中したいと思うので、今日こんなことを言うつもりはなくて!ミサンガ渡して頑張ってくださいって言うだけのつもりで、えっと、、だからその…」
息つく間もないくらい早口で弁解した。
でも最後は話がまとまりきらなくて、困ってうつむいてしまった。
「川瀬さん、ありがとう」
諸星くんの声がして、私は顔を上げた。
「気持ちは嬉しいんだけど、さっき川瀬さんも言ってくれたように、俺今はインターハイのことで頭がいっぱいで。ちゃんと結果出すまでは彼女とかつくらないって決めてるんだ。だから、友達として仲良くしてください」
諸星くんはペコっと頭を下げた。
「…ううん、私の方こそ、いきなりごめんなさい。インターハイも愛知で応援してるので、頑張ってください」
必死で笑顔を作った。
目頭が熱い。
泣くな。
泣くな。
まだ泣いちゃだめ。
「ありがとう、頑張るよ。じゃあ俺、部活行くね」
「うん」
諸星くんの姿が見えなくなると、ユッちゃんが駆け寄ってきた。
「咲季!」
「ユッちゃ…」
「咲季頑張ったよ!急に告白するなんて思わなかったからビックリしたけど!ちゃんと伝えてたじゃん、自分の気持ち」
「…ユッちゃん、ユッちゃ、ん、うっ、う〜〜」
今まで我慢してきた涙が、せきをきったようにぼろぼろ溢れてきた。
「諸星くんすごい優しいじゃん。ちゃんと付き合えない理由も教えてくれてさ、しかも友達になってくれるって!咲季、良い人好きになったよ!」
ユッちゃんは私の頭を撫でながら笑いかけてくれた。
「っうん。うん。諸星くんは、格好良いんだよぉ?うぅ〜〜」
諸星くんは、本当に優しい。
こんな私にも真摯に向き合ってくれた。
もっと、好きになっちゃったよ。
でも、私、フラれちゃったんだ。
この日は涙が枯れるまで泣いた。