[続]初恋cherry.(1〜77)
□4話
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「咲季!!?」
諸星くんが駆け寄ってきてくれた。
諸星くんだ。
諸星くんが居る。
遠距離になってまだ2ヶ月もたってないのに、すごく久しぶりな感覚で。
心臓が、ドキドキ、ドキドキ、音を立てる。
「迷わず来れた?」
「大学までは大丈夫だったんだけど…体育館の場所がわからなくて困ってたら土屋さんが助けてくれて…」
「そっか。悪いな、土屋」
「ありがとうございました」
「ええよ全然」
「今休憩でさ、もう戻らないといけないから、行こっか」
「うん」
皆で体育館へ向かって、『ここで見てて』って2階のギャラリーを案内してくれた。
「終わったら迎えに行くから」
「うん、頑張ってね!」
諸星くんが私の頭をポンポンって撫でた。
「咲季チャン、ボクも見てや?」
「あっ、はいっ!頑張ってください!」
土屋さんはウインクしてきて、
「俺の華麗なシュートをちゃんと見とけよ」
「わっ!わかりました!」
三井さんには人差し指をビシっと突きつけられた。怖い。
………すごい。
練習を見始めて、私は皆のプレーに釘付けだった。
大学のバスケ部って、こんなにすごいんだ。
愛和学院のバスケ部も全国の常連なだけあって、皆上手だなあ〜って思ってたけど、何か、ケタが違う気がする。
素人の私にもわかるくらい。
何であんな風に自由に身体が動くんだろう。
きっと私のような凡人には一生わからないんだけど、不思議でならない。
土屋さんと三井さんもすごくて。
土屋さんは周りをよく見てるっていうか、後ろに目があるの?って思ってしまうくらい。
三井さんは、すごくシュートがうまい。
フォーム?が綺麗で、三井さんがシュートを打つ瞬間はつい見とれてしまった。
でも私はやっぱり諸星くんばかりを目で追ってしまう。
久しぶりに諸星くんがバスケをする姿を見た。
彼を見てるとキラキラ眩しくて、胸がいっぱいになる。
ああ、素敵だなあ。
ああ、好きだなあ。
今は見てるだけなのに、好きが溢れて大変だ。
練習が終わって、着替えを済ませた諸星くんがギャラリーまで迎えに来てくれた。
「咲季お待たせ」
「お疲れさま」
あと、
「咲季チャン、ボクの活躍見てくれた?」
「はい、すごく素敵でした」
「ええ子やね〜」
土屋さんと、
「オイ、ちゃんと俺のシュート見たか?」
「あっ!はい!すごくてビックリしました!」
「ん。ならよし!」
三井さんも一緒に。
「あのさ、こいつらが皆でメシ行かないかって言うんだけど、良いかな?」
「あ、うん!是非!」
「…大チャン残念やったね?」
「うるせえよ」
ん?残念???
「コイツな、アンタと早く2人になりたいからメシ行くの嫌だって言ってよ、でも彼女が良いって言ったら行っても良いって言ってたんだよ。だからスネてやんの」
三井さんが私に耳打ちした。
「三井!余計なこと言うな!あと!咲季に近い!離れろ!」
そうだったんだ……
行くって言っちゃったけど、大丈夫だったかな…
「大チャンベタ惚れやね〜」
「諸星ィ、束縛男は嫌われんぞ?」
「あーもううるせえ!さっさとメシ行くぞ!」
諸星くんが私の腕を取って歩き出す。
私の顔も赤かったけど、口を尖らせた諸星くんの顔も赤くなってた。