[続]初恋cherry.(1〜77)
□52話
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今日は諸星くんと付き合って3年の記念日。
今年も東京の諸星くんの家に来てて一緒にお祝いする。
「咲季、この豆腐とベーコンのやつうめえわ」
「三井さんありがとうございます」
「お前いい加減俺への敬語直せよ」
「う……はぃ」
「咲季チャン、チョコケーキ買うて来たから後で食べよな?好きやろ?チョコ」
「土屋さんありがとう。うん、大好き」
「大好きってボクのこと?照れるわ〜」
「えっ!ええっ!?」
「土屋!くだらねぇこと言うな!」
「もー冗談やん?大チャンは怒りんぼさんやね〜」
今年も、三井さんと土屋さんも一緒。
毎年恒例って感じで、もう違和感はない。
でも、諸星くんは毎年2人に『帰れ』って言ってる。これも恒例。
去年からは食卓にお酒も並ぶようになった。
だから私の作る食事もおつまみ系に変えて。
3人共いつも楽しみにしてくれて、おいしいおいしいって食べてくれるから、私の方こそ作るのが楽しみなんだよね。
それにしても、さっきからお酒の空き缶が次々と増えていく。
一番ピッチが早いのは三井さん。
一口食べてはビールをグビグビと流し込んでいて。
そんな彼の頬はほんのりと赤くなっていて、若干目もすわっているように感じる。
梅酒をロックで飲んでいるのは土屋さん。
『水割りにしろよ』って2人に言われても、『ロックの方が好きやねん』って涼しい顔をしてる。
諸星くんはチューハイを飲んでいて、三井さん程じゃないにしてもペースが早い。
私はお付き合い程度にカクテルをチビチビ飲む。
普段あんまりお酒は飲まないから、少量でも身体がじんわりと温かくなっているのがわかる。
諸星くんが“酒抜いてくる”ってお風呂に行っている間、三井さんと土屋さんと話していたら、すっかりご機嫌になった三井さんが
「なあ、お前らってどっちから告ったんだ?」
「えっ……」
「そういえばボクも2人の馴れ初めって聞いたことないなあ」
「…最初は私だけど、諸星くんも、かな?」
「全然意味わかんねぇんだけど」
「あっ、そうだよね、ごめんね」
諸星くんとの馴れ初めを聞かれた私は、諸星くんと付き合うまでのことを話始めた。
「えっと…高校に入ってすぐくらいに諸星くんを見かけて一目惚れしたの」
「それから高3までずっと見てるだけの片想いしてて…」
「見てるだけって…中坊かよ」
「一途で可愛いやん」
「間違えて部活のない日に練習を観に行っちゃって、体育館で立ってたら諸星くんに話かけられて」
「私テンパっちゃって“体育館見にきただけなんで”って言って逃げちゃったんだよね…」
「ぎゃははは!何だよその言い訳!」
「咲季ちゃん天然炸裂やな」
やっぱり笑われた…
この話をするといつもこうだ。
「でもその日を境に諸星くんと話す機会が増えて…」
「友達の後押しがあって、インターハイ前にミサンガを渡したんだけど…その時舞い上がって告白したの」
「おっ!キタ!」
「女の子からの告白ってエエよなあ」
「いやっ、でもね、私……」
「おい!咲季!?」
「咲季チャン!?」