[続]初恋cherry.(1〜77)

□48話
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「おう、久しぶり」

諸星くんが2人に挨拶する。



1人は色黒で体格がガッチリしてるから、この人が牧さんかな。

もう1人は茶髪で中性的な雰囲気で。
女の私が羨ましくなるくらいキレイな顔をしている。


茶髪の方の友達が私をチラリと見て

「この子がお前の彼女?」

「そう。咲季っていうんだ」

諸星くんが紹介してくれて

「初めまして川瀬咲季です」

ぺこりと頭を下げた。


「こちらこそ初めまして。牧紳一です」

「咲季ちゃん初めまして。俺は藤真健司。よろしくね?」

藤真さんに握手を求められて私も手を差し出して藤真さんの手を握ると

「可愛いね」

ギュッと手を握り返されて、私の顔を覗き込んだ。

「えっ!はい!はい?いいえ!そんな、とんでもないです…」

藤真さんのキレイな顔が至近距離にあって、諸星くん一筋の私でさえもさすがにうろたえてしまった。

こんなことされたら女の子はたまんないだろうな…きっとイチコロだよ。


「ふーじーまー!」

諸星くんが藤真さんの手首を掴んで私から引き剥がす。

「はっはっはっ!わりィわりィ!よし、メシ行こうぜ」

「わりィわりィじゃねぇよ…お前ほんと相変わらずだな」



「すまないな…藤真のやつ、悪気はないんだ」

歩きながら牧さんが私に謝る。

「いえっ、全然!」

牧さん、すごく優しそうだな。

あと、大人っぽい。
同い年とはとても思えないや。



お昼は、2人のリクエストで愛知の名物が食べれるお店へ。

味噌カツにきしめん、手羽先などが机の上いっぱいに並ぶ。

それを次々に平らげていく3人を見ながら、やっぱりスポーツマンは違うなあ…
なんて感心しながら私はきしめんをすすった。


「手羽先食べると高校の文化祭で咲季が作った手羽先思い出すなあ」

「ふふ、懐かしいね」

「何?咲季ちゃん料理上手いの?」

「咲季の作るメシ、すげえウマいよ」

「へえ〜良いな、料理上手な彼女」

「だろ?」

諸星くんが得意気に話す。

私のことをこんな風に話してくれるのって、ちょっとくすぐったいけどすごく嬉しい。



「諸星は良い奥さんがいて幸せ者だな」


今まで聞き役だった牧さんが突然口を開いた。


「ぶはっ!牧!こいつらはまだ結婚してねえよ!」

「お前も相変わらずだな。見かけによらず天然っつーか」

すかさず藤真さんと諸星くんが突っ込む。


私は突っ込む余裕なんてなくて、“奥さん”という単語を頭の中でひたすら繰り返していたら

「すまない、お似合いだったものだから、つい…」

また牧さんに謝られて。

「いえっ!全然!あの、嬉しかったです」



「まあ、間違ってないけどな」

!!?

「多分そうなるし。な?咲季
?」


諸星くんの問いかけに、私はただ顔を赤くするだけで何も言えなかった。

嬉しくて、嬉しすぎて、泣きそうだったから。

でも、このゆでダコみたいな真っ赤な顔が私の答えだって、諸星くんはきっとわかってる。




「諸星、お前見せつけるのも大概にしろよ」

「ん?幸せなんだからしょーがねえだろ?」


「咲季さん、これからも諸星をよろしく頼みます」

「っ!はっ、はいっ!」


「お前は俺の親かよ」



諸星くんの友達って、皆すごく個性的。

でも楽しい人ばっかりで、一緒にいると笑顔になる。


今日はすごく良い日になりそうだなあ。

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