ウチとボク

□番外編(2)
1ページ/1ページ

あと、ウチな、

というか

ウチら


そういうコト、したことない。


チューもしたし、イチャイチャ、というか…うん、そういうのはしたけど、最後まではしてへん。

中学生の頃はまだ早いみたいなのがあったし、高校生になったら淳の部活が忙しかったし……


経験自体はある。今までの彼氏と。

淳も、そうやと思う。



今日、泊まるし…

泊まるってことは、一緒に寝るワケやろ?
年頃の付き合うてる男女が同じベッドで寝るっていうのは……やっぱり、、そうやんな。


勿論、嫌やないよ。

それは、当然。

好きやもん、淳のこと。メッチャ好き。


ただ、ビビってるっていうか、緊張してるっていうか……

さっき淳に抱き締められたときもドキドキがヤバかったのに、これ以上のことが起きてもうたら……

ウチ、失神するんちゃう?


何アホなこと考えてんのって思うけど、マジやねん。

ほんまに、ほんまに、失神する並にヤバイねんて。





ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン


!!!

淳や……!


『ボクが帰ったらインターホン3回鳴らすから、それ以外は出たらアカンよ?』

淳に鍵をもらったときに言われた。



「は、はーい」

玄関のドア越しに返事をすると


「ボク」

淳の声。


覗き穴から淳の姿を確認してからドアを開ける。


「ただいま、遅くなってゴメンな?」



……淳がおる。


ここは淳の家なんやから当たり前なんやけど

さっきまで、これって夢かなーくらいに思ってた自分がおるから……


「おかえり、淳」


「迷子にならんかった?」

「子供とちゃうもん」

「せやな」


淳と話しながら玄関から部屋に向かう。


ウチは、淳に気付かれんように左胸に手を当ててさすった。


ちょっと、やばい。ドキドキする。

心臓が、メッチャうるさいんやけど……

こういうの、何て言うんかな?乙女モード?


「打ち上げお疲れ様」

「うん、三井クンがベロベロになってもうてなあ〜かついで連れて帰ったわ」

「うわ、大変やん!大チャンは?」

「大チャンはカノジョが家で待っとるからな、打ち上げ終わったらすぐ帰したよ」

「淳も可愛い彼女が家で待っとるんちゃうん?」

「わ!ホンマや!」

「コラ!」


「大チャンな、今までキャプテンとしてメッチャ頑張っといたんよ。せやから今日は大チャンが誰よりも悔しかったと思うし、カノジョに癒してもらわなな」

「そっかあ〜、あのカワイコチャンならウチも癒されたいわ」

「名前、大チャンのカノジョのファンになってもうてるやん」

「だって可愛かったんやもん!」

「エェ匂いしたんやろ?」

「そう、ハンカチな」


こういうやり取り、懐かしいなあ。

こう、ポンポン会話が弾む感じ。


そもそもこうやって自然に話ができるってことが、ウチらからしたら凄いことで。

やっぱりこれ、夢なんちゃう?



「家にはちゃんと電話した?」

「うん、したよ」

「何て言ってた?」

「オカンは、気をつけて帰りよ〜って。オトンは……」

「うん、オッチャンは?」



「オトンは………ゆ、結納は、いつするんや、って…」


「…!あはは!さすがオッチャン!」

「もー、オトン気ぃ早すぎやんなあ?」


……良かった、淳が笑い飛ばしてくれて。

こんなん言うたら重いに決まっとるもん。
結納て、何やねん……オトンめ。



「いつにしよか?来年?」

「は!?」

「ん?結納、いつにする?」

「は?え?ゆいの、えっ?淳、結納って何か知っとるん?」

「うん、イヤ?」

「え……イヤ、ちゃう、けど……」


オトンも何言うてんのって思ったけど、淳も何言うてんの?

ちょっ、えっ、は、うぇ?


「嘘うそ、ぼちぼちな」


淳はニコニコ笑いながら大きな手でウチの頭をワシャワシャ撫でる。


ばか淳。
ドキドキさせんでよ、あほ。

心の中で悪態をついてみるけど

それでもウチの乙女モードは切れへん。


ウチ、結構さっぱりした性格やと思うけど

今日くらいはエェかな?


恋する乙女モード、全開でも、エェやんな?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ