ウチとボク
□10話
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高校生活は順調で、バスケもやり甲斐があって楽しい。
名前とはあんまり会えんけど、ボクを応援してくれとる。
たまに会えたときが嬉しくてたまらんくて、何回も名前にチューしてまうボク。
…メッチャ好きやん。
「土屋くぅん」
「ん?」
休み時間、
割と良く話すクラスメイトの女子数人に話しかけられた。
「土屋くんの彼女って○○高校の名字名前ちゃんやんな?」
「うん、そうやけど?」
「ウチら今日の朝な、校門のところで名字名前ちゃんに話しかけられて、土屋くんに伝えといてって頼まれたんやけどな、」
「彼女、土屋くんと別れたいって言うといたんよ」
「土屋くんバスケばっかりであんまり会えんからもう嫌で会いたくないって」
「そんなん言うても土屋くんバスケ頑張っとるのになあ?でもウチら頼まれたから…ゴメンなあ」
嘘やと思った。
ボク、割とモテるし、こうやって嘘ついてボクと名前を別れさせようとしとるんや、って。
名前と会えば嘘やったってわかるし、言うてきた子らには適当に相づち打っといた。
でも、日課のメールを送ることは何故かできんかったし、名前からもメールがこんかった。
何でこんな日に限って…タイミング悪すぎやん…
どうせ居眠りしとるんやろって思いながらも心臓はバクバクして、
1日中、そのバクバクは止まらんかった。
不安を振り払うように部活ではガムシャラに動いて、ヘトヘトの身体で帰り道を歩いていたら
街灯の下で名前が立っとるのが見えた。
普通に声かけて、普通に話して、普通に家まで送って、普通に名前の家の前でチューしてバイバイすればええ。
そうすればえかった。
わかっとるハズやったのに
どれもできんかった。
もしかしたら、サヨナラ言われるんちゃうんかって、メッチャ怖くなった。
ホンマのことを知るんが怖くなって、、
避けた。
思いっきり、フイって、してもうた。
あと、ちょっと期待した部分もある。
『淳!ウチやって!もー何でシカトするんよー』
って、名前が追いかけてくれたら
そしたら、ああ、やっぱり嘘やった〜って確認できるやん。
自分は何もせずに、何も動かずに、真実が知れるやん。
ボクはズルイ。
でも、名前は追いかけてきてはくれんかった。
そうか、アレ、ホンマやったんか。
ボクらは、終わった。