ウチとボク
□8話
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「名字名前ちゃんって、あなた?」
高1の夏
朝、大栄学園の女子数人が校門でウチを待っといた。
「そう、ですけど…」
「土屋くんと付き合うてるってホンマ?」
「?はい」
「ウチら土屋くんに頼まれたんやけどな、土屋くん、もうあなたとは会われへんのやって」
「……は?」
「土屋くんな、バスケがメッチャ忙しゅうてあなたに構ってあげられんし、あなたと連絡とるのがもう嫌やって言うといたんよ」
「せやから別れましょーって」
「ウチら土屋くんに頼まれただけやから、じゃあね」
何でこの子達にこんなこと言われなアカンのやろって頭では思ってるのに、ウチは何も言い返せんままで。
大栄の制服を着た女の子達の後ろ姿を見て、あの子らスカート短いな、って的外れなことを考えていた。
1日中考えをグルグルさせて
家に着いて我に返ってからもう1度考えてみたけど
淳本人に聞かんとホンマのことはわからんって結論に至った。
毎日部活に明け暮れる淳の帰りは遅い。
でも待った。
まだまだ帰って来んってわかっとる時間から、淳の帰り道の街灯の下でひたすら待った。
何で今日1回もメールくれんかったんやろ……まあ、ウチも送らんかったけど。
だって、もしメール送って返事がこんかったら余計に色々考えてしまうやん…
ネガティブなこととポジティブなことを交互にゴチャゴチャ考えてたら
淳が歩いて帰って来るのが見えて、声をかけた。
「あっ!あつ………し…」
淳は、確実に私の方を見た。
私に、気付いてた。
でも、フイって、された。
あからさまに、フイ、って。
追いかけて話を聞ける程、ウチは強くなかった。
それが、真実やった。
あの子達が言ってたことがホンマやったって、信じざるを得んかった。
この日
私と淳は、終わった。