◆Aroom

□すき?スキ?好き?
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『ねぇ、純』

『何だよ』

『純はさ、私のこと好き?』

『ぶっ!ゲホッ!そんなモン、付き合ってんだから、そりゃ、そうだろうがよ』

『じゃなくて〜!好き?って聞いてるの!』

『…ぐ、ぬ……んなこっぱずかしいこといちいち言えるか!』

『もう知らない!純のバカ!』





「……ってことがあったの!小湊くん!純ヒドくない?」


オイ……


「へぇ、それは大変だったね」


オイ……


「でしょ!」


コラ……


「そんな話を俺の前でするんじゃねぇ!」

こういう話は本人がいねぇ場所でするモンだろうが!


「小湊くんだったらこんなときどうする?ちゃんと言ってくれるよね?」


「シカトしてんじゃねぇぞコラァ!」


「そうだなぁ…彼女を不安にさせるのは男として良くないね」


「また無視か!俺は透明人間か!」


「だよねぇ!さすが小湊くん!」


彼氏の前で他の男褒めてんじゃねぇぞ!

そりゃ亮介なら言えるかもしれねぇが、哲や丹波だったら絶対に無理だ。
男っつーのはそんなモンだろ!

生身の人間は少女漫画のヒーローとは違うんだよ!
ありゃ読むモンで実行するモンじゃねぇ。



「あ、名字、ちょっと耳かして」

「えっ、何なに!?」


「人の目の前でナイショ話すんな!カンジ悪ぃぞ!」

名前に余計なこと吹き込むんじゃねぇ!

つーかあんまりくっつくな!



亮介の耳打ちに目をキラキラさせた名前は俺の方を見て、


「純、焼肉好き?」


「…は?おぉ、好きだ」


やっと2人の会話に混ざったと思ったら、ワケのわからねぇ質問…

何だ、何を企んでやがる…


「じゃあ私は?」


「ぐっ…」


ヤロウ…そういうことか……


「亮介テメェ…おめーの入れ知恵だな!」

「え?何のこと?」


すっとぼけやがって!コノヤロウ!


「焼肉は好きって言えるのに名字のことは好きだって言えないんだ?純は。へぇ」

「ぐっ……」


あークソ!

亮介のニヤけ面が腹立ってしょーがねぇ!

名前も!そんな期待いっぱいの目で見んな!


クソ!クソ!クソ!



「好きに決まってんだろーがバカヤロウ!!!だァァァ!これで満足か!」



「満足!大満足!純、大好きっ!」



「2人共、ここ教室だから」



まあ、たまには少女漫画のヒーローも悪くねぇか。
ガラじゃねぇけどな!うっせ!

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