◆Aroom

□OH MY GOD!
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神様……どうか真田くんが私のことを好きになってくれますように…


…なんて祈りながらも、最近私は神様の存在を疑っている。

だって、片想いしている真田くんが私に振り向いてくれる気配が全然ないんだもん…



同じクラスの真田俊平くん。

イケメンで優しくてノリが良くて、しかも野球部のエース。

これで好きにならない訳がない!


そんなハイスペックな真田くんを狙ってる女子は、私以外にも沢山いる。

4組の前川さん、6組のサラちゃん、それに先輩や後輩にもチラホラ…


もちろん私だって負けてられないから、毎日頑張ってアピールしてる。

まずは朝の挨拶から始まって、休み時間も何かと話しかけてるし、帰るときは“バイバイ、部活頑張ってね”って。

外見だって、髪の毛は毎日トリートメントしてサラサラに、爪は短く清潔に、唇はリップでいつもツヤツヤ。

ね、結構頑張ってるでしょ?

それに同じクラスっていうだけで他の子よりも有利だし、半歩くらいリードしてる気がする!
…ちょっと前向きすぎかな?


でも、正直あんまり手応えはない。

話しかけたときは楽しく話してくれるけど、真田くんって優しいから皆に平等なんだ。

いっそのこと告白しちゃえば良いんだろうけど…振られるのが怖くてできない。
だって勝率100%で告白したいんだもん。
私、結構慎重派なんだよね…


そこで他に何かできることはないかなって実行してるのが、さっきしてた神頼み。

会ったこともない神様に困ったときだけお願いするなんて、都合がよすぎるってわかってるけど……

でもね!神様にでもすがりたいくらい本気なんだもん!


ああ、でも何かダメだ。今日はダメ。モヤモヤしちゃう。

恋愛なんて自分の思い通りにならないに決まってる。

わかってる、わかってるんだよ?


でも、真田くんを好きにな気持ちは日に日に大きくなっていくばかりで…

私のこの報われない気持ちはどうすれば良いの?



放課後、野球部が練習しているグラウンドを横目にトボトボと歩く。

いつもは野球をする真田くんを見てから帰るけど、今日は行かない。

行ったらまた好きが大きくなるもん。

これ以上好きになったら、もう苦しいだけだよ…


はぁ……コンビニ寄って帰ろ…

今日はお菓子のヤケ食いする!決定!



自転車置き場から自分の自転車を出していると、悲劇は起こった。


ガシャン、


ん?


ガシャガシャガシャガシャガシャ…


「ちょっ、あっ、えっ、」


自分の右隣りの自転車がグラついたなと思ったが最後、並んでいた自転車が次々に倒れていく。


もー、、最悪だ。

やっぱり神様っていないんだね。

もしいるなら私がこんな気分のときにこんなこと起こらないハズだもん。



「大丈夫?」


横倒しになった自転車を前に呆然と立ち尽くしていたら、後ろから声がして…

「?….えっ!?さっ、真田くん!」

振り向くと、ユニフォーム姿の真田くんが立っていた。


「派手にやったなぁ」

真田くん笑ってる…カッコイイ……

…じゃなくて!


「よっ、と」

「あっ、いいよ!私やるから真田くん練習行って?」

倒れた自転車を起こそうとしてくれる真田くんを慌てて制止した。


「良い良い、これからランニングだし」

好きになってもらうどころか、迷惑かけてどうするんだ私…

でも優しい真田くん……好き。

ああまた好きになった!もう!


「もう帰んの?」

「うん」

…真田くんが振り向いてくれないからふてくされてお菓子ヤケ食いしようとしてました、なんてさすがに言えない…


「明日は見学来る?」

「えっ!?」

「名字さん、よく野球部見に来てるよな?」


わ、わ、真田くん、知ってたんだ!?


「あしっ、明日は行くと思う!」

「お、了解」

「練習、頑張ってね」

「サンキュ」


真田くんと2人きりで喋っちゃった!

“サンキュ”だって!嬉しー!


「名字さんさ、」

「ん?」


「毎日帰るときにそれ言ってくれんじゃん?練習頑張ってー、ってやつ」


「俺、それ毎日結構楽しみにしてたりすんだぜ?」



「じゃあまた明日な、バイバイ」

「……バッ、バイバイ!」


ニッと笑った真田くんは、クルリと向きを変えてランニングに行ってしまった。

私は、真田くんの後ろ姿をひたすら見つめる。

まばたきも忘れて、背中が見えなくなるまで、ずっと。



か、かかか、神様!

さっきまで疑っててごめんなさい!

神様やっぱりいます!信じます!ありがとうございます!

なんか、もうちょっとな気がする!


私!頑張ります!

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