[続]初恋cherry.(1〜77)

□26話
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次の講義が急遽休講になった。


休講になった時間はバスケの自主練をするとして……


確かこの時間は咲季の講義が終わった頃のはず……

いつもメールの返事がこのくらいの時間にくるから。


ちょっと咲季に電話してみるかな…


急に思い立った。


いつも昼間はメールだけど、たまには電話して声を聞くのも新鮮で良いかもしれない。

咲季が友達と居て電話に出られなかったらそれはそれで仕方ないし。

まあ、声が聞けたらラッキーってことで。



バスケ部の体育館に向かいながら咲季に電話をかける。


プルルルル

プルルルル

プルルルル


『もしもし?』

『あっ咲季?俺だけど』


咲季の“もしもし”はいつも可愛いなーって思う。
ちょっと緊張してる感じが伝わって、つい口元が緩む。


『諸星くん、今ね、あっ!ちょっ!』

『ん?』


急にガチャ、ガサガサって雑音がした。


『咲季?大丈夫?』

転びでもしたのかと思って声をかけると


『モシモシ?』

『……は?』


電話口に出たのは、あろうことか男の声で。

ソイツの声の少し遠くで“返してください!”って咲季の必死な声がする。


『…誰?』

いやマジで誰だよ。

誰だか知んねぇけど、男だって時点で正直すでにちょっとイラついてる。


『南いうモンですけど』

関西弁……?南…?


『……お前、豊玉の南?』

『せや』


『咲季に携帯返せよ』

何で南…?

でもまずは冷静に。とりあえず冷静にな、うん。



『お前に話があんねん』


『……何?』

俺はお前に話なんかねぇよ。

しいて言うなら、何でお前が咲季と一緒に居るんだってことだ。

咲季と同じ大学だからって普通有り得ないだろ、彼氏との電話中に携帯取り上げるなんてよ。




『お前の女……』


『咲季が何だよ?』


冷静……冷静……れ…



『俺、コイツもらうわ』


『…は?』


コイツ今……何て言った?

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