[続]初恋cherry.(1〜77)

□25話
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その翌週、例の講義を受けるために1人講義室の席についていた。


カバンから必要な物を取り出していると


ガタン


誰かが私の隣の席に座った。


そんなに人が多い講義じゃないから他の席もあいてるのにな…

不思議に思って、チラリと隣を見る。


「あっ、南さん?」

「ども」


隣に座ったのは南さんで。


「あれ?南さんもこの講義とってるんですか?」

「いや……」


??じゃあ何でここに?

南さんの行動にはいつも驚きと疑問でいっぱいにさせられる。


また頭の中でハテナを飛ばしていたら講義が始まった。


始まるやいなや、南さんが私の筆箱に手を伸ばしてボールペンを取り出す。


ん?ペン忘れたのかな?

というか南さん手ブラだ…

ますますここに居る理由がわからない……



南さんはペンのフタを外すと、私が広げていたノートの端に何かを書き始めた。

書き終えると、書いた場所を指でトントンと叩く。


……読め、ってことかな?


そこに目をやると、


“愛知の星と付き合ってどんくらい?”

すごくキレイな字で書かれていて。


何でそんなこと聞くのかな?と疑問に思いながらも、ノートに返事を書き込む。


“1年8ヶ月です”


また南さんが書き込む。


“遠距離寂しくないん?”


南さんは恋バナがしたいのかな…?


“もちろん寂しいですけど、諸星くんも東京で頑張ってるので私も頑張れます”


“愛知の星のどこが好きなん?”

“恥ずかしいので秘密です”


“俺と初めて会ったときどう思った?”


もうハテナマークが止まらない。
それでも無視するわけにいかなくてペンを走らせる。


“一見怖良い人かなと思ったけど、話してみると良い人だと思いました”


うん。これは本当。

わかりにくいけど、ちゃんと会話はできるし。
南さんは良い人だと思う。


その時…

私の回答を見た南さんが


「ふっ」


……笑った気がした。


今、南さん、笑ったよね?

すごい、何だかレアな瞬間を見ちゃったなあ。


そんな南さんは、それ以上私に質問することなく講義が終わるまで机に突っ伏して寝てしまった。



講義が終わって自然と南さんと一緒になって、別れるまでの道のりを歩いていた。



「南さんは、好きな人が居るんですか?」


これが私が出した結論。

恋でもしてなきゃ、あんなこと聞かないもんね。

私の話を聞いて参考にしたいのかな…?


「……」

「あっ、言いたくなければ良いんです!出過ぎたこと聞いちゃってごめんなさい」


「いや……俺、」
「あっ、電話だ。ちょっとすみません…」


南さんが何か言いかけたときに、ちょうど携帯のバイブが鳴って話を遮ってしまった。

電話をかけてきたのは諸星くんで、“友達と居るからまた後でかけるね”って言ってすぐ切るつもりで電話に出た。

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