[続]初恋cherry.(1〜77)

□16話
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私は今、東京の諸星くんの部屋に居る。



お盆に諸星くんと会ったとき、合い鍵をもらったんだ。

『東京に来たときは、これ使って俺の部屋で待ってて?』って。

嬉しすぎて、もらったときは半泣きになった。



今日、何で東京に来たかというと、今日は、諸星くんと付き合って1年の記念日だから。

大学はまだ夏休みなんだけど、諸星くんは相変わらずバスケ漬けの毎日で。


夕方諸星くんが帰ってくるまで、私は晩ご飯を作りながら待つ。


こういうの、奥さんみたいで嬉しくて、顔が緩む。

いつか、本当に諸星くんのお嫁さんになれたら良いな、なんて夢見てる。

こんなこと、恥ずかしくて誰にも言ってないけど、私の1番の夢なんだ。



晩ご飯は、諸星くんのリクエストで和食。

肉じゃがと、鮭とキノコのホイル焼き、野菜サラダに、豆腐とわかめのお味噌汁。ケーキも買ってきた。


お味噌汁のお鍋の隣では、カレーをコトコト煮込んでる。

カレーは冷凍しておけば好きなときに食べれるから、忙しい諸星くんに良いかなって。


お味噌汁の味噌を溶いていると、ガチャガチャ、と玄関の鍵が開く音。


「咲季ただいま!」

「諸星くん、おかえりなさい」

コンロの火を止めて、パタパタと諸星くんの元に駆け寄ると、

「何か、おかえりって良いなあ」

満面の笑みを浮かべて私の頭をポンポンと撫でた。



「すげえ良い匂いすんだけど!」

「ふふ、ご飯できてるよ?…わっ」


コンロの方へ向かおうとすると、諸星くんに腕を引かれた。


「……先に咲季にしようかな」


ぎゅっと抱き締められて、耳元でささやかれる。


唇と唇が触れ合おうとしたとき、



ぐううううう



諸星くんのお腹が鳴った。



「…っ、ふふ、ご飯、食べよっか?」

「あーっ!もう!格好つかねえなあ〜」

諸星くんはガシガシと頭をかく。

私には、そんな彼も可愛いなって思えてしまうんだ。



食事をテーブルに並べる。


「うわーうまそう!」



「んじゃ、1年おめでとうと、これからもよろしくってことで」

「「いただきます」」




ピンポーン



箸を持って、さあ食べよう、ってときにインターホンが鳴った。


「ん?郵便かな?」

諸星くんが玄関に向かって、ドアの覗き穴を見た。


「げっ」

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