[続]初恋cherry.(1〜77)

□7話
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「着いたよ」

15分程歩いて、諸星くんが住むアパートに着いた。


「何もない部屋だけど、どうぞ」

「お邪魔します」


玄関で靴を揃えて、立ち上がって振り向くと、諸星くんに抱き締められた。


「あ〜〜やっとくっつけた!やっと2人だ〜」

ギュウって音がしそうなくらい、強く。


「2人、だね」

私も、諸星くんの胸に顔を埋めて、ギュって抱き締め返す。

距離が近すぎてむせかえってしまいそうだけど、幸せでたまらない。


「あは、ゴメン。こんな所で。部屋入ろっか」

「ふふ、うん」


諸星くんの部屋はすごくスッキリしていて、キッチンに至ってはほとんど使ってないように見えた。

チェストの上には、私がクリスマスにプレゼントした写真立てが飾ってあって。
その中には、私達2人の写真。
照れくさいけど、すごく嬉しくて、何だか心がくすぐったい。




「風呂入る?」

「私は後で良いよ。諸星くん先に入って?部活で疲れてるだろうし」

「ありがとう。じゃあお先に。…あ、一緒に入る?」

「えっ?やっ、ごごご遠慮しておきます!」

首をブンブン横に振った。
そんなの!絶対無理だよ!

『ちぇー』って笑いながら、諸星くんはお風呂へ。

その後私もお風呂に入って、2人で歯磨きした。


並んでテレビを見ながら、お互いの近況を話す。

毎日メールや電話で連絡を取り合っているけど、やっぱり顔を見ながら話せるのは嬉しくて。
私、すごく緩んだ顔をしていると思う。



「そろそろ寝よっか?」

「そうだね」


電気を消して、ベッドに横になる。

シーツから諸星くんの匂いがして、ドキドキする。

そもそもお泊まりって初めてだから、ドキドキしすぎてこのまま眠れるかどうかも怪しい。


「咲季」

「…ん?」

薄暗闇の中で諸星くんが私を呼ぶ声。


「諸星くんの腕枕、先着1名様あいてるんだけど、どう?」

諸星くんが手を上げてヒラヒラさせる。


「…っ!」

ううう腕枕!?
そんなの、してもらっても良いの?


「えっと…良い、の?」

「うん、おいで?」

「じゃあ…し、失礼します」

諸星くんの腕に頭を乗せる。


「重くない?」

「全然平気。嬉しい」


チュッてキスが落ちてきて

「おやすみ」

甘い声がした。


「おやすみなさい」


多分、いや、絶対、眠れないや。

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