[続]初恋cherry.(1〜77)

□6話
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「じゃあな」


「大チャン、やっぱりボクらも行こか?」

「だから来るなって」

「冷たいわ〜」


ファミレスを出て、諸星くんと土屋さんが押し問答を繰り返す。



「咲季チャン、また遊びに来てな?」

「うん、お世話になりました」

ようやく諦めたらしい土屋さんが、人差し指で私の頬をチョンとつつく。


「次は迷子にるなよ。またメシ行ってやっても良いぞ」

「いてっ。はいっ、よろしくお願いします」

三井さんにはデコピンされた。



「じゃあまた明日な」

「ありがとうございました」


手を振って2人と別れた。




「ええなあ〜大チャン…」

「今夜はヤリ放題だな」

「下品やわ〜三井クン。可愛い彼女がおってええなあ〜ってことやで?」

「そうだな。良いよな、ああいう女」

「今夜はおいしくいただくんやろなあ〜」

「お前も十分下品じゃねーか!」




土屋さんと三井さんがそんな会話をしているとはつゆ知らず…私達は諸星くんの住むアパートまで歩く。


「騒がしくてゴメンな?」

「ううん、楽しかったよ?」

「なら良かった。練習、どうだった?」

「大学のバスケ部ってすごいんだね!釘付けになっちゃった!土屋さんも三井さんもすごく上手だったし」

「あいつら上手いんだよな〜。でも俺の方が上手いけど、とか言ってみたり」

諸星くんがおどけて笑う。


「あのっ、でもっ、諸星くんが一番格好良かった、よ?んっ」

言い終わった途端、私の視界は真っ暗になって。


キスされたんだ、ってわかったときには、もう諸星くんは私の手を取って歩き出していた。


「ゴメン、家まで我慢できなかった」

振り向いて眉を下げながら笑う諸星くんに、私は顔を赤くするだけで何も言い返せない。


「土屋と三井、あいつら、ちょいちょい咲季に触って馴れ馴れしいし、ムカツク」

「…っ、ふふっ」

「相変わらずガキですから、ボクは」

「あはは、ボクって」

「土屋の真似。あいつお坊ちゃんみたいな雰囲気のくせに言うこと下品なんだよ。三井は元ヤンらしいし」

「元ヤン……」

確かに、と思ってしまった。



「家に着いたら、咲季のこと離さないから覚悟しといてな?」

真っ赤っかな顔をした私は、諸星くんに手を引かれながらコクンと頷いた。

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